香川県議会 > 2021-11-03 >
令和3年11月定例会(第3日) 本文

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  1. 香川県議会 2021-11-03
    令和3年11月定例会(第3日) 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    十  河     直 君    高  城  宗  幸 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    白  川  和  幸 君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    西  川  昭  吾 君    新  田  耕  造 君    松  原  哲  也 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    綾  田  福  雄 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君
      欠  席  議  員    岡  野  朱里子  君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事    浜  田  恵  造 君           副  知  事    西  原  義  一 君           病院事業管理者    太  田  吉  夫 君           審  議  監    大  山     智 君           政 策 部 長    淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長    椋  田  那津希  君           危機管理総局長    寺  嶋  賢  治 君           環境森林部長     木  村  士  郎 君           健康福祉部長     土  岐  敦  史 君           商工労働部長     近  藤  清  志 君           交流推進部長     佐  藤  今日子  君           農政水産部長     新  池  伸  司 君           土 木 部 長    西  川  英  吉 君           文化芸術局長     小  川     剛 君           子ども政策推進局長  吉  田  典  子 君           会計管理者      田  中  一  裕 君           病 院 局 長    岡  田  総  一 君           デジタル戦略総室長  井手下   慶  博 君           知事公室長      尾  崎  英  司 君           教  育  長    工  代  祐  司 君           公安委員会委員    岡     みゆき  君           警察本部長      今  井  宗  雄 君           代表監査委員     木  下  典  幸 君           監査委員事務局長   田  井  慎  二 君           人事委員会委員長   関  谷  利  裕 君           人事委員会事務局長  森  岡  英  司 君           労働委員会事務局長  河  内  一  裕 君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第三号)                  令和三年十二月九日(木)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(十河 直君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付のとおりであります。  日程に入るに先立ちまして、諸般の報告をいたします。  職員に朗読させます。    (職員朗読)   諸般の報告 一、監査委員から、地方自治法第二百三十五条の二の規定に基づく報告一件を   受理いたしました。 一、議案第十八号の先議に伴う議案第一号の計数整理の結果につきましては、   十一月二十五日に配付いたしております。 ◯議長(十河 直君)以上で諸般の報告を終わります。    ───────────────────────────── ◯議長(十河 直君)日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  谷久浩一君。    (谷久浩一君登壇、拍手) ◯谷久浩一君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。  質問の一点目は、デジタル技術の活用についてであります。  先月十一日、第二次岸田内閣が発足し、重要政策に位置づけているデジタル田園都市国家構想の初会合が開催されました。この構想では、デジタル技術を活用し、医療や教育、交通といった分野での都市と地方の格差を解消することが掲げられており、人口減少が進んでも、あらゆる地域で豊かに暮らせるようにすることが目標とされています。今後、国ではデジタル田園都市国家構想推進交付金を自治体に配り、財政を支援するとの方針であります。地方においては、国からの交付金も活用しながら、さらなるデジタル化の推進が求められます。  コロナ禍によりデジタル化への意識が社会全体で強まり、生活環境や働き方に変化が訪れる中、人口減少に歯止めがかからない地域においては、人口減少による店舗や公共交通の撤退などによる生活環境の悪化などの問題に対応するため、民間企業はコスト削減や業務効率化などを積極的に目指し、働き方改革に取り組むためにデジタルを生かした技術の活用を進めています。  三豊市では、高松市のベンチャー企業が、本年八月から須田港と沖合約四キロメートルの粟島を結び、ドローンを使ってコンビニの食料品や日用品などを運ぶ定期航路を週五回運航し、離島生活の利便性の向上に一役買っています。他県に目を向けても、山梨県の山あいの村ではドローンを活用した食品の配送試験が行われたり、北海道の公道において無人自動配送ロボットを利用したシェアリング型配送サービスの実証実験が行われたりするなど、地域の物流を補完する取組が各地で進められています。  地方においては、人口減少などにより二〇一四年に消滅可能性都市が発表されるなど、地域の存続や地方創生が打ち出されており、ドローンを利用した物資の輸送やロボットを活用した業務負担の軽減や自動配送、自動運転などの実装は、地域の活性化につなげていく一つの大きなパーツになると思われます。  県は来年度、自治体や民間企業との共同でかがわDX Lab(仮称)を立ち上げ、地域の課題解決を目指していくとのことでありますが、デジタル技術の活用についてどのようにお考えか、知事の考えをお聞かせください。  また、介護施設においては、新型コロナウイルス感染症の発生により、職員の体制の縮小や感染症対策への業務負担が増加しており、介護ロボットICT機器の活用が職員の負担軽減や業務効率化に有効であることから、県の補助制度も活用しながら積極的な導入を進めようとしています。しかしながら、本県の補助制度は近隣他県と比較して上限額が低く設定されており、自費での負担が大きいため、事業者が機器の導入をためらう状態となっています。  介護施設におけるICT機器の導入を促進し、職員が働きやすい環境をつくり出し、業務の効率化を進めていくためにも、積極的な財政支援が必要と考えますが、どのようにお考えか、知事にお伺いをいたします。  質問の二点目は、持続可能な循環型社会の形成についてであります。  廃プラスチック類の有効利用率の低さや、海洋プラスチック等による環境汚染、まだ食べられるのに捨てられている食品ロス問題などが世界的課題となっている中、二〇一五年の国連総会で全加盟国が合意した持続可能な開発目標であるSDGsの考え方の下、フランスでは二〇二〇年以降、使い捨てのプラスチック容器原則使用禁止としたり、イギリスではプラスチックストロー、マドラー及び綿棒の販売を禁止する意向を発表、その他の多くの国々においてもレジ袋を規制し、有料化や原則禁止とするなど、世界全体で持続可能な社会の実現に向けた取組が進められています。  このような中、我が国においても、今年開催された東京オリンピック・パラリンピックにおいては、使用する表彰台について、二〇一九年六月から二〇二〇年三月に回収された使用済みプラスチック約二十四・五トンをもとに計九十八台の表彰台を作成するなど、史上初めてプラスチック素材全てにリサイクルプラスチックを使用いたしました。また、メダルやギフトを表彰台へ運ぶほか、プレゼンターや選手をエスートする役目も担うボランティアの衣装にもリサイクル素材を活用するなど、大会のコンセプトである持続可能性に最大限配慮したものとしました。  また、プラスチックごみリサイクル強化と排出削減に向けた新しい法律であるプラスチック資源循環促進法が成立し、二〇二二年四月に施行される予定となっています。この法律の施行により、家庭からごみとして出る食品トレーやおもちゃなどのプラスチック資源の一括回収が市町村の努力義務となるとともに、使い捨てスプーンやストローを多く提供する飲食店やコンビニエンスストアなどに有料化を含めた削減策が義務づけられ、持続可能な社会の実現を目指すこととなっています。  さらに、私たちの生活に直結したところでも、大手コンビニやカフェにおいて、店頭で入れる飲物の容器を紙製のものに変更したり、ストロー不要の蓋への切替え、繰り返し使えるマイストローの販売、持ち帰り用スプーンやフォークへの植物由来の素材の採用など、環境に配慮した取組が進められているほか、消費期限の迫った食品の値引き販売など、日常生活の中でも環境問題について考えさせられることが多くなってまいりました。  デジタル化社会が進展する中、スマートフォンのアプリを利用した環境配慮行動を促進する取組も進められています。例えば、二〇一九年にアメリカで誕生したアプリ「Miles(マイルズ)」は、スマホの位置情報を利用して、AIで自動判別される移動手段により、徒歩やランニングなら十倍、自転車は五倍、バスや電車は三倍といったように、距離に応じてマイルがたまる仕組みを導入し、注目を集めています。マイルズでは、移動手段によってマイルがたまる倍率を変えることにより、環境に優しい移動を促進する効果を持たせています。  また、静岡県でも、協力店での食べ切りやフードバンクに食品を寄附すること、古紙、段ボール、食品トレー、ペットボトルといった資源を、協力店に置かれたリサイクルボックスを利用して分別収集に協力することなど、環境に配慮した行動に対してアプリにポイントを付与し、たまったポイントで抽せんに応募でき、当選すれば商品券や食事券などと交換できるというメリットを与えることにより、環境問題を考える動機づけとなるような仕組みを構築しており、環境省もこうした環境配慮行動を促進する取組を新たに行う自治体や民間企業を後押しするような支援策を検討しているとも伺っています。  このような状況の中、本県においても、さきの九月議会において議決された環境基本計画の中の施策の基本目標の一つに、「環境への負荷を低減させる持続可能な循環型社会の形成」を掲げており、積極的な施策展開を図っていくべきと考えます。  そこで、持続可能な循環型社会の形成に向け、今後、どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。  質問の三点目は、公共交通の持続性の確保についてであります。  鉄道やバス、フェリーなどの公共交通は、地域住民の日常の移動手段として、また、交流人口を支える社会基盤として大変重要な役割を果たしており、人口減少・超高齢社会において、公共交通の維持・確保は喫緊の課題となっています。豊かで安心して暮らせる社会基盤をつくり、次の世代へしっかりと引き継いでいくことが我々の重要な責務であることから、全ての人にとって安全・安心・快適な移動手段を今後も確保していくことが強く求められています。  一方で、特に地方においては自動車が主要な移動手段となっていますが、高齢ドライバーによる交通事故が多発するなどの問題が生じており、免許を返納せざるを得ない高齢者をはじめ、誰もが利用できる公共交通は、暮らしを支える大切な受皿としての移動手段にもなっています。  また、島嶼部においては、フェリーや高速艇が地元住民にとっての生活の一部になるとともに、観光で訪れる人にとっても、旅の価値を増大させ、地域の魅力につながる観光資源の一つにもなっています。  しかしながら、長期にわたるコロナ禍により公共交通の利用者は大幅に減少し、加えて本年五月頃からは燃料価格の高騰が続いていることから、特に経営基盤の脆弱な離島航路の事業者を含め、公共交通の事業者は、財政的に苦しい状況が続いています。政府は、先月十九日に取りまとめた追加経済対策で、ガソリンなどの価格急騰を抑える期間限定の支援策を盛り込むとともに、石油備蓄の放出により原油価格の鎮静化を図ろうとしていますが、いずれも一時的な対策であり、今後の継続的な価格の安定につながるかは不透明となっています。  今後の地方における移動手段の確保を図るため、国は、昨年十一月、地域公共交通活性化再生法の改正を行いました。同法に基づく基本方針では、地域旅客運送サービスの持続可能な提供の確保に努め、その実現に向けて地域公共交通の活性化及び再生を図ることが重要とされており、国土交通省は、地域ごとに、バス、タクシーの労働力確保とサービス維持を図りながら、サービスが不足する地域では、その他の移動手段を総動員して移動ニーズに対応すること、MaaSやAIによる配車、自動運転などの最新技術を活用して、高齢者や外国人旅行者を含む幅広い利用者に使いやすいサービスの提供を促進することを基本的な考え方として示すとともに、地方公共団体が中心となって作成する地域公共交通計画等を通じて、地域の移動手段の確保・充実を図る取組を支援する方針を示しています。  県は、事業者、市町、利用者、地域社会と連携し協働しながら、国の方針も踏まえ、地域公共交通政策を推進していく必要があります。今後の公共交通の持続性を確保していくために、公共交通事業者に対して必要に応じた効果的な財政支援を行うとともに、長期的な視野で見た対策を講じる必要があると考えますが、どのようにお考えでしょうか。知事にお伺いをいたします。  質問の四点目は、公共土木施設の維持管理・データベースの活用についてであります。  本年十月、和歌山市内の六十谷水管橋の一部が崩落し、和歌山市北部の約六万戸で断水となる事故が起きました。市は仮の水道管を設置する応急復旧工事を行いましたが、住民の生活に大きな影響を与えました。過去を振り返ってみても、施設の老朽化によるトンネル天井板の落下事故や道路の陥没事故など、公共土木施設に関わる事故が多く発生しており、これらの被害は、施設の維持管理の適正化という課題を改めて私たちに突きつけています。  公共土木施設の老朽化が急激に進む中、トンネルや橋の点検は義務化され、危険性の高い施設の早期修繕を進めようとしていますが、維持管理に関する業務量は増大し、費用も膨らみ続け、施設の管理を行う自治体では、限られた人員・予算の中で適切に維持管理を行い、効率的かつ長期的な視野で施設の修繕による長寿命化、再整備等を行うことが求められています。  そうした中、国土交通省は、道路施設の定期点検の結果や修繕計画を一元管理するデータベースを構築し、橋梁やトンネルなど施設ごとに整備し、情報をできる限り公開する方針としました。施設の構造や点検結果、修繕履歴等を記録しデータベース化することにより、集約したデータを維持管理の効率化につなげることができるとともに、データベース化した情報を公開することによって民間企業や研究機関が一元的に活用し技術開発を進め、維持管理の効率化を促進することができるとされています。自治体が管理する土木施設は膨大な量であり、全ての施設を担当者が目視などで点検し管理するのは事実上困難です。そのような膨大な土木施設を、より効率的・効果的に管理していくためには、データベース化は必須となっています。  本県においても、香川県県有公共施設等総合管理計画に基づき、本県が目指すべき施設管理等の在り方として、効率的な維持管理や更新等の実施、安全な公共施設等の維持、取組体制の整備の三つの柱を掲げ、点検者の技術力の確保や点検・診断項目のマニュアル化、結果のデータベース化等を推進しています。公共土木施設に関してもデータベース化を進め、維持管理に活用していると思われますが、限られた厳しい予算の中で、住民の安全性を確保し効率的に維持管理を行っていくため、データベースを有効に活用することが重要であると考えられます。  本県の公共土木施設の維持管理の面において、データベースはどのように活用されているのか、現在の状況と今後の取組について知事にお伺いをいたします。  最後に、特別支援教育におけるICTの活用と教師の専門性の向上についてであります。  令和二年度の文部科学省の調査によりますと、特別支援学校の小・中学部に在籍する児童・生徒数は約七万六千九百人で、義務教育段階の全児童・生徒の〇・八%、小学校、中学校の特別支援学級に在籍する児童・生徒数は約三十万二千四百人で三・一%、令和元年度の調査では、通常の学級に在籍し通級による指導を受ける児童・生徒数は約十三万三千四百人で約一・四%となっており、特別支援教育対象の児童・生徒数は年々増加傾向にあり、本県も同様であります。  そのような状況の中、本年一月、中央教育審議会において新しい時代の特別支援教育の在り方が示されました。その有識者会議の報告では、特別支援教育をめぐる状況と基本的な考え方が示されており、障害のある子供の学びの場の整備や連携強化を図ることが掲げられるとともに、ICTの活用等による特別支援教育の質の向上と特別支援教育を担う教師の専門性の向上が示されています。  特別支援教育では、障害の状態や特性、それに伴う学びにくさは多様かつ個人差が大きく、障害のない児童・生徒以上に個別最適化した学びとなる特別な支援が必要であり、身体の障害による学習上の困難、知的障害や発達障害による学びにくさやコミュニケーションの困難に対応し、理解や意思表示を支援するためのICT機器の活用が有効とされています。  例えば、視覚障害者である児童・生徒に対して、タブレットの表示変換機能を活用して文字の拡大や白黒反転機能を利用し、より見やすい状況を実現したり、視覚情報を点字キーボードや読み上げソフトを活用し触覚や聴覚情報に変換したりするなど、ICTの活用により児童・生徒の視覚障害の状態を考慮した指導方法の工夫が可能となります。また、知的障害者である児童・生徒に対しては、コンピューターなどの情報機器を活用し、学習ソフトにより理解を進めやすくするなど、児童・生徒の知的障害の状態や学習状況、経験等に応じて、教材・教具や補助用具などを工夫し、指導の効果を高めることができます。  ICTは、障害のある子供に対する学習ツールとして非常に有効なものとなりますが、一人一人の障害の状態、状況に応じてその活用方法が異なり、また、子供によっては一人で機器を活用することが難しかったりするため、指導する教師のICT活用スキルはこれまで以上に高いものが求められています。障害に応じた指導を行うためには、日頃から教師が様々なICT機器についての知識を高めることが重要ですが、習得すべき知識が専門的であることから、知見を有するICT支援員の確保や外部人材によるOJT研修の実施など、組織として支援体制を構築し、学校でICTを活用できる体制を整備することが望まれます。  本県においては、小豆地域で本県九校目の特別支援学校が令和五年四月の開校に向けて準備を進めており、小豆島における特別支援教育の拠点となり、地域とともに子供を育てる環境づくりが進んでいると考えております。  障害のある子供に対し、多様な学びの場において少人数の学級編制、特別の教育課程等による適切な指導及び支援が継続して実施されるとともに、特別支援教育の対象となる児童・生徒は年々増加しており、その流れに対応した教育環境づくりが必要となってきます。  今後の本県におけるICTを活用した特別支援教育の充実や特別支援教育を担う教師のICT活用能力を含めた専門性向上を図るための取組について、どのように取り組んでいかれるのか、教育長にお伺いし、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)谷久議員の御質問にお答えいたします。  まず、デジタル技術の活用についてであります。  人口減少・少子高齢化の進行に伴う本県の様々な課題が山積していることに加え、近年、急速に進む技術革新や自然災害、感染症のパンデミックなど予測困難な事象が多数発生し、不確実性、複雑性が増している中、将来にわたって行政運営や社会経済活動を持続可能なものとしていくためには、デジタル技術のより一層の活用が不可欠であると考えております。  このため、現在検討中のかがわDX Lab(仮称)におきましては、デジタル化は目的ではなく手段であるという考えの下、本県における地域の課題について、各市町や自動運転やロボットなど様々な技術を有する民間事業者と連携し、協議を重ねることで課題の本質を見いだし、その解決にデジタル技術の進展を踏まえた新たな取組を積極的に行い、「安心・便利・豊か 人が主役のデジタル社会 かがわの形成」の実現を目指してまいりたいと考えております。  また、介護施設における介護ロボットICT機器の活用につきましては、職員の負担軽減や業務効率化に資することから、県では地域医療介護総合確保基金を活用して、その導入に要する経費の一部を助成しておりますが、今年度は予算額を大幅に上回る要望があったことから、より多くの事業所に支援できるよう補助の上限額を設定したものであります。本補助制度の拡充につきましては、今後も介護ニーズの増加や高度化・多様化が見込まれる中、介護人材を安定的に確保していく上で重要であると考えており、関係団体の御意見や他県の状況なども踏まえて検討してまいりたいと考えております。  次は、持続可能な循環型社会の形成についてであります。
     先般策定した香川県環境基本計画では、議員御指摘のとおり、「持続可能な循環型社会の形成」を基本目標の一つに掲げ、これまでの大量生産・大量消費型のライフスタイルからの転換を図るため、取組が遅れているリデュース、リユースの二つのR、2Rを可能な限り推進した上で、再生利用ができるものについては適正にリサイクルを図る取組を進めていくこととしております。  このうち2Rの推進については、民間団体と連携して、学校や地域、職場など幅広い世代に向けた環境教育や環境学習による意識啓発に努めるとともに、多量の廃棄物を排出する事業者に対して、廃棄物処理計画の実施状況を公表することによる自主的な削減の取組を促してまいります。  また、特にプラスチックごみや食品ロスなど新たな課題に対しては、削減に取り組む事業者を県が認定し、広く紹介するとともに、消費者の意識の向上も図る取組を進めているほか、議員御指摘の環境配慮行動を促進するための取組についても、国の支援に関する情報の収集と各市町などへの提供に努めてまいりたいと考えております。  一方、リサイクルの推進については、循環産業の育成やリサイクル製品の利用促進を図るため、リサイクルに関する情報提供を通じた排出事業者とリサイクル業者をマッチングする取組を始めたところであり、今後、利用事業者数の拡大に向けて積極的にPRしてまいります。  また、来年度から施行されるプラスチック資源循環促進法では市町の役割が重要となることから、地域ブロックごとに協議の場を設け、地域の実情に応じた分別収集やリサイクルの手法について検討することとしており、食品トレーなどの店頭回収を行っている事業者と連携した、リサイクルしやすいごみの排出方法についての住民の皆様への意識啓発の取組などに対しても支援してまいりたいと考えております。  私といたしましては、各市町や関係機関等と十分に連携を図るとともに、県民の皆様や事業者の方々の御理解と御協力をいただきながら、持続可能な循環型社会の形成に向け、一つ一つの取組を着実に進めてまいります。  次は、公共交通の持続性の確保についてであります。  本格的な人口減少・高齢化社会の到来により、公共交通の重要性は、今後、ますます高まるものと考えており、このため、県では、県全体で利便性と結節性に優れた持続可能な公共交通ネットワークの構築を目指し、基幹的な交通は県を中心に、地域に密着した交通は地元市町を中心にといった役割分担と緊密な連携の下、その実現に向けて鋭意取り組んでおります。  議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響による利用者の大幅な減少が長期化していることに加え、昨今の燃油価格の高騰などにより、交通事業者は非常に厳しい経営状況に置かれていることから、交通事業者などが実施する新しい生活様式に対応した取組に対し支援する公共交通等利用回復緊急支援事業や定期旅客船事業者支援事業を今定例会に補正予算議案として御提案しているところであります。  また、先月二十九日には、私から直接、国に対し、燃油高騰の影響を受けやすい航路事業者への支援など、地域公共交通の維持・確保に向けた支援策の拡充が必要であることや、公共交通ネットワークの骨格となる新幹線の早期実現などを要望してまいりました。  一方、長期的な視点から、持続可能な公共交通ネットワークを構築するためには、利便性と結節性の向上により利用者を確保することが重要であると考えており、交通事業者による非接触型キャッシュレス決済やバスロケーションシステムの一層の拡大、インターネットで経路検索が可能となる運行データの整備などを促進するとともに、先進事例の紹介や勉強会の開催などを通じて、交通モード間の乗り継ぎ機能の向上・連携強化に取り組んでまいりたいと考えています。  私といたしましては、今後とも交通事業者が置かれている現況を的確に認識するとともに、長期的な視点から、国や市町、交通事業者等と緊密に連携しながら、地域公共交通の持続性の確保に積極的に取り組んでまいります。  次は、公共土木施設の維持管理におけるデータベースの活用についてであります。  全国的に公共土木施設の老朽化が進む中、本県においても、四十年以上前に整備されているものが道路施設は約七割、砂防施設は約六割、港湾施設や河川管理施設は約五割となっており、公共土木施設の老朽化が進んでいる状況であります。県では、これまで平成二十年十一月に策定した香川県公共土木施設アセットマネジメント基本方針や、平成二十八年三月に策定し、今般、見直しの検討を行っている香川県県有公共施設等総合管理計画に基づき、公共土木施設の長寿命化計画を策定し、維持管理や更新に係る経費の縮減や平準化を図りながら、施設の計画的かつ効率的な管理に取り組んでいるところであります。  このような中、公共土木施設の施設台帳の整備のほか、定期点検の結果や修繕履歴の管理は重要であり、県では、橋梁やトンネルなどの道路施設、水門等の河川管理施設、砂防ダム、港湾・海岸施設など、それまで所管施設ごとに作成・運用していた施設台帳について、平成二十六年度から地図情報と連携し、統合・一元管理を行う公共土木施設統合台帳システムを運用し、施設管理業務の効率化を図っているほか、各施設の長寿命化計画に基づく定期点検の結果や修繕履歴についても、施設ごとにデータベースを作成し、適切な施設の健全度の判定や修繕計画の策定に活用しているところであります。  私といたしましては、引き続き点検結果等のデータベースを有効に活用しながら公共土木施設の日常的な維持管理を的確に実施するとともに、計画的かつ効率的な修繕工事に取り組み、県民の皆様の安全・安心の確保に努めるほか、議員御指摘の国の取組等も参考にし、研究機関や民間企業等によるAI技術などを活用した技術開発の促進につながるよう、データベースの公開などの環境整備について検討してまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)谷久議員の特別支援教育におけるICTの活用及び教員の専門性向上についての御質問にお答えいたします。  GIGAスクール構想により、全ての学校でタブレット端末や校内無線LAN、さらに、障害のある児童・生徒のための入出力支援装置など、日常的にICTを使いやすい環境が整備されてきており、県教育委員会では、タブレット端末をコミュニケーションツールとして活用したり、病室と教室を結んで遠隔授業を行ったりするなど、一人一人の障害の状態や特性等に応じてICTを効果的に活用することにより、特別支援教育の充実を図っているところです。  中でも、より専門性が求められる特別支援学校では、今年度、各校にICT活用教育推進委員会を設置し、計画的に研修や授業研究を進めており、入出力支援装置の設定や遠隔授業の工夫など、各校の取組について互いに情報を交換しながら、教員のICT活用能力の向上に努めております。さらに、県教育センターにおいても、特別支援教育におけるICT活用に関する講座を開講するなど、専門性の向上を支援してまいります。  小豆地域に令和五年四月に開校予定の特別支援学校においては、豊かな自然の中で伸び伸びと学ぶことができる環境を大切にするとともに、ICT活用の特性や強みを十分に生かし、島内各地域の小・中学校や島外の学校の友達との交流を深めたり、例えば、水族館や工場をオンラインで見学するといった学習の機会を積極的に取り入れたりすることで、子供たちの視野を広げ、豊かな人間性や社会性を育んでいきたいと考えております。  特別支援学校の実践から得られるICTの効果的な活用方法については、小・中学校等の教員も参考にできるよう、県教育委員会のウェブサイトや各市町の情報教育担当者から成る小・中学校ICT活用等検討委員会において随時情報を提供し、県全体のICTを活用した特別支援教育の質の向上に一層努めてまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。  辻村 修君。    (辻村 修君登壇、拍手) ◯辻村 修君 質問に先立ちまして一言申し上げます。  二年間にわたるコロナ禍は、社会に甚大な影響を与え続けています。県内のコロナ感染は落ち着いてきたものの、全世界では感染拡大が続いている地域や新たな変異株の脅威もあり、まだまだ収束に向かっているとは言えない状況であり、逆転反撃に向けての経済対策になかなかアクセルが踏み込めません。しかし、我が国では従前より、人口減少、少子高齢化、人手不足が深刻化しており、それらの課題を含めたポストコロナ時代の新しい社会構築に是が非でも取り組まなければなりません。やまない雨はありません。そのときに向けて我が県がいち早く行動すべく、質問に入ります。  質問の第一点目は、持続可能な田園都市の構築についてであります。  政権選択選挙と言われた第四十九回衆議院議員総選挙では、与党が絶対安定多数となる議席数を獲得し、その後の首相指名選挙で岸田首相が再選出されました。岸田首相は選挙前の所信表明において、目玉となる経済政策、新しい資本主義の実現について述べていますが、新しい資本主義とは、持続可能性や人を重視し、新たな投資や成長につなげることだとされており、その実現に向けての成長戦略として、科学技術立国、経済安全保障と並びデジタル田園都市国家構想が挙げられています。デジタル田園都市国家とは、デジタルの実装で地方の課題を解決することにより、地方と都市の差を縮め、都市の活力と地方のゆとりの両方を享受できる国家とされています。  二〇二〇年の都道府県別合計特殊出生率のうち、全国で最も低いのが東京都の一・一三であり、香川県の一・五一とは大きな差があります。大都市でのライフスタイルが日本の出生率低下を加速させており、ポストコロナ時代、日本経済を維持していくためには東京一極集中では日本経済の沈没が進むのは明白です。本県においてもデジタル田園都市国家構想の考えを取り入れるなど、人口減少社会にも対応した自立力の高い田園都市を構築していくことが急務ではないでしょうか。  我が県では本格的な人口減少局面を迎えており、県経済の縮小や地域活力の低下のみならず、医療や介護など様々な分野での人手不足が加速化し、地域社会の維持が困難になる可能性も懸念されています。香川県では、人口の現状を分析し、目指すべき将来の方向を提示するため、平成二十七年にかがわ人口ビジョンを策定していますが、令和二年三月、新たな推計に基づき改訂を行い、令和四十二年に人口約七十七万人を維持するという新たな目標を掲げているところです。そうした中、先頃発表された人口移動調査によると、令和三年の香川県の人口は約九十四万三千人となっておりますが、これは令和二年のビジョンにおける推計値より約三千人少なくなっているとのことです。この結果にはコロナ禍の影響もあるのではないかと考えますが、今後の人口減少対策を見直すためには、改めて原因分析を行う必要があるのではないでしょうか。  コロナ禍は人々の意識を大きく変え、転職なき移住につながることが期待されるテレワークが広まったり、三密を避けるために都市から地方へという流れが生まれたりしています。春から夏にかけての感染拡大局面を何とか抜け出し、現在は全国的にも新規感染者数が落ち着いた状態ではありますが、海外では依然新型コロナウイルスが猛威を振るっていることから、第六波となる感染拡大も警戒されるところであり、今後の人口動態にも影響が出てくるおそれがあります。  そうした中、国が示した新しい資本主義の提言においては、デジタル田園都市国家構想を実現するための手段として、テレワークの推進や中小企業のデジタルトランスフォーメーションの推進、教育のICT環境の充実などが挙げられています。こうしたデジタルの実装が今後の人口減少対策には必須なのは、火を見るよりも明らかであります。  コロナ禍は香川県の労働力不足を支えている外国人労働者にも影響を与えていますが、出入国管理及び難民認定法の改正により、平成三十一年四月から運用が開始されている在留資格「特定技能」のうち、将来的に永住権の取得の道も開かれている「特定技能二号」について、先月、国が対象分野の拡大の検討を進めているとの報道がありました。この「特定技能」の創設が検討されていた平成三十年、当時の安倍首相は、いわゆる移民政策ではないと言っていましたが、「特定技能二号」には在留期間の上限はなく、家族帯同も認められることになっています。県内の出生率や国内からの移住者が多少増加した程度では、なかなか人口減少に歯止めがかからないのが現状です。この「特定技能」のような外国人労働者の受入れを促進することも有効なのではないでしょうか。  また、持続力の高い田園都市をつくるためには、県内以外に県外や国外にも複数の販路を持つ、広い意味での外貨を稼ぐ産業を育成し、国内が落ち込んだときには海外でカバーし、逆に海外が落ち込んだ場合は国内でカバーするなど、臨機応変な対応で他国や他地域の景気の影響を最小限にとどめる自立力を高めることが重要であると考えます。  製造業は、香川県の基盤であり、これまでも設備投資等の支援を行ってきましたが、さらなる販売力強化のために、主力事業以外にも積極的に新規事業を推進する、いわゆる両利きの経営などを進める企業や、外国への販路拡大をしようとする企業への支援を行っていくべきと考えます。  また、国策として、大都市に集中する産業の地方分散を推進していただくことも重要であると考えます。現在、原油価格高騰があらゆる産業にダメージを与えていますが、エネルギー源のシフトチェンジも不可欠であり、衣食住に関わる最低必需品の県内での自己完結型の強化、できないものは地域連携による体制整備を図らなければなりません。  このように、田園都市の構築には、確固たるビジョンを持って田園都市経済を支える産業の育成に取り組む必要があると考えます。人口減少を克服し、香川県が持続可能な田園都市を構築していくためには、デジタルの実装、外国人労働者の受入れ、外貨を稼ぐ産業の育成などについて、具体的かつ戦略的な対策を講じるべきであると考えますが、今後、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二点目は、瀬戸内へのサミット誘致についてであります。  コロナ禍で疲弊している中、世界的に有名な旅行ガイドブック「ロンリープラネット」において、二〇二二年のお勧めの旅行先である「BEST IN TRAVEL二〇二二」地域部門第六位に四国が選ばれたという明るいニュースが舞い込んできました。この選出には様々な要因が考えられますが、お遍路のお接待文化や環境に配慮するコミュニティーのつながりなどが評価されたのではないかということです。  実は、香川県が世界的に脚光を浴びたのはこれが初めてではなく、ニューヨーク・タイムズ誌が発表した「二〇一九年に行くべき五十二カ所」においても、第七位に「瀬戸内の島々」が選出されています。その中で、瀬戸内は「日本の内海にある芸術と自然の調和」と表現され、本県の紫雲出山や瀬戸内国際芸術祭、広島県のしまなみ海道などが紹介されています。  現在、観光やMICEをめぐる状況は、新たな変異株に対する警戒感が強く大変厳しいものですが、瀬戸内や四国への世界的な注目度は増してきています。来年、五回目となる瀬戸内国際芸術祭が開催されますが、このような追い風を生かし、世界に向けて情報発信をしていく必要があります。  そうした中、二〇二三年に日本で七年ぶりのG7サミットが開催される予定となっています。二〇〇〇年の沖縄・九州以降、洞爺湖、伊勢志摩と、地方で開催されてきたサミットですが、福岡市、名古屋市のほか、先日広島市も誘致を正式に表明しました。また、関係閣僚会合については、新潟、仙台、日光などが誘致を表明しており、今後、誘致が本格化することが予想されます。香川県では、前回、伊勢志摩サミットの際に、四国初の関係閣僚会合である情報通信大臣会合を高松市で開催しました。歓迎レセプションや直島でのエクスカーションなど、県民挙げてのおもてなしや瀬戸内の多島美をはじめとした景観が、各国の代表に大変好評だったとお伺いしております。  このような実績に加え、四国も含む瀬戸内エリアが観光分野で世界的な注目を集める中、今がサミットなどのMICE誘致に向けて力を入れるべき時期です。これまでサミット誘致というと都市単位が基本でしたが、私は瀬戸内というエリア単位での誘致も有効ではないかと考えます。前回サミットでは、本県以外に広島では外務大臣会合、倉敷では教育大臣会合が開催されており、実績も申し分ありません。瀬戸内は備讃瀬戸、燧灘など多様な海域から構成されていますが、これらをスーパーヨットと呼ばれる大型クルーザーやクルーズ船などで航行し、会議やレセプションパーティーを行う、そして、その様子や瀬戸内の絶景を世界に発信する、そうすることでMICE誘致や観光誘客も推進できるのです。  「007」の小説「赤い刺青の男」の中で直島がサミット会場として描かれたことから、二〇〇六年には当時の副知事がシリーズの配給元であるアメリカの映画会社を訪れ、映画化とロケ地誘致に動いたこともありました。残念ながらいまだに映画化とはなっていませんが、それより先に各国の首脳が瀬戸内を行き来し、直島で記念写真を撮るというような未来も夢ではないと思います。  四国や瀬戸内が世界から注目を集める中、他県との連携も含め、瀬戸内へのサミット誘致を行うべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三点目は、河川改修の推進についてであります。  ここ数年ゲリラ豪雨などによる自然災害が多発し、記憶に新しいものでも、西日本を広範囲に襲った平成三十年七月豪雨、熊本などで多くの被害者を出した令和二年七月豪雨、そして、今年七月の熱海市での土石流など、枚挙にいとまがありません。県内では幸いなことに、近年ここまでの大規模な災害は起こっていないものの、台風等を原因とした浸水被害は度々起こっています。私の地元善通寺市を流れる弘田川水系においても、平成十六年は台風、また、平成二十二年には豪雨により、善通寺市や多度津町の市街地で浸水被害が発生しております。こうした自然災害は、地球全体の気候変動に伴い、今後、発生リスクがさらに高まることも予想されることから、その対策が急がれるものであります。  こうした中、国では、従来の管理者主体型の治水から、河川の流域全体の関係者が協働して流域全体で行う持続可能な治水対策である流域治水への転換を推進しています。本県においても、二級河川の流域治水の取組をまとめた流域治水プロジェクトを今年八月に策定したところです。内容を見ますと、「氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策」として、護岸・雨水排水施設の整備、ため池の活用などが、「被害の軽減、早期復旧・復興のための対策」として、ハザードマップの改良、ICT等を活用した洪水情報提供などが挙げられています。  浸水被害の軽減を図るため、どのように対策を講じるのかということを示すことは大変意味のあるものであり、流域に関わる各関係者の取組の進捗が期待されるところですが、気候変動を踏まえたさらなる対策が必要であることも示していることから、私は、これまで以上に河川管理者たる県の責務が増すものと考えております。  流域の住民の命と財産を守るためには、まず河川の氾濫を防ぐことが重要であり、それができるのは護岸等の河川管理施設です。私は、ソフト対策で対応できないところを埋めるためにハード対策があるのではなく、ハード対策で対応できないところを埋めるためにソフト対策があると考えます。県として治水対策を進めるため、河川管理施設等のハードを強力に推進する必要があるのではないでしょうか。  しかし、現実はなかなか厳しい状況にあります。先ほど申し上げた弘田川水系においても、工事の進捗は一年間に数十メートル程度となっております。これでは必要な整備が終わるまで数十年、いや、百年以上かかることもあるのではないでしょうか。財政的な制約があるにしても、気候変動に対応した治水対策が求められている中、子の時代はおろか、孫の時代までかかっても完成しないのでは不十分であります。平成三十年七月豪雨で多大な被害を受けた倉敷市では、治水工事を先延ばしたとして、住民が国に対して不作為を問う訴訟を起こしています。今後、災害が増えれば、本県においても同様の訴訟が起こる可能性もあります。  気候変動により豪雨災害が増えることが予想される中、河川の氾濫を防ぐためには県内河川の改修を今まで以上に推進していく必要があると考えますが、今後、どのように進捗を図っていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第四点目は、ため池の適正な保全管理についてであります。  豪雨災害の頻発は、河川の氾濫のほか、ため池の決壊等の被害も引き起こしており、さきに述べた平成三十年七月豪雨のほか、今年八月の豪雨の際には九州を中心に多くのため池が被災するなど、毎年のようにため池災害が発生していることから、国においても、一昨年にため池管理保全法、昨年度にはため池工事特措法を相次いで施行し、被災リスクの低減を図っているところです。  こうした中、県では約二十年ぶりに県内ため池の調査を行い、今年四月現在のため池の総数は約一万二千か所と、前回より二千三百五十か所減少していますが、その多くは小規模なため池が長期間のうちに豪雨等の土砂堆積に埋没・荒廃したものと伺っています。私の地元の善通寺市においても、山間部の小規模なため池において、ため池管理者が減少する中、適正な保全管理が大きな課題となっております。  このような状況下、県では昨年十月、香川ため池保全管理サポートセンターを開設し、ため池管理者に対する技術的支援や防災重点農業用ため池の劣化状況評価を行っていると伺っております。劣化状況評価の結果、劣化が進行している防災工事が必要なため池では工事を実施することになりますが、本県では昭和四十三年度から老朽ため池五か年計画を策定し、計画的に工事を行っているものの、ハード対策は時間も経費もかかり、多くのため池で一度に改修工事を行っていくことには限界があります。  このため、ため池管理者による日頃からの通常の定期的な保全管理はもとより、台風などの豪雨時の見守りなどを強化していくことが必要ですが、農業従事者の減少や高齢化の進行、さらには、それと相まってため池管理者の減少などにより、ため池の保全管理体制が脆弱化しています。  このため、ため池の適正な保全管理を推進するためには、サポートセンターの効率的かつ積極的な活用が必要と考えますが、これまでのサポートセンターでの活動状況についてお伺いしますとともに、今後、どのように取組を進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第五点目は、高校教育の在り方についてであります。  教育委員会が昨年三月に示した魅力あふれる県立高校推進ビジョンによると、県内の中学三年生は減少を続け、令和元年の八千九百人から令和十五年には六千七百人に落ち込むなど、十五年の間に二千人、率にして二五%減少すると予測されています。本県で教育を受け、県外に進学した子供の八割近くは香川県に戻ってこないというデータもあることから、若者が少なく、活気が減少した未来も見えてきます。そうしたことから、少しでも県の未来を明るくするためにも、県外進学者の県内就職促進策を引き続き講じるとともに、高校卒業後も県に残り、支えてくれる学生も意識した高校教育の在り方について改めて検討する必要があると考えます。  まずは、県立高校の再編についてであります。  現在、県内には二十九の県立高校があり、そのうち工業科や農業科などの職業系専門学科を持つ高校は十三校あります。さきに述べたビジョンによりますと、これらの専門学科では、生徒が職業人生を通じて必要とする知識・技能を育成するための教育を行うものとされています。一方、平成三十年度の調査によると、専門学科の高校卒業後の状況は、半数以上が大学や専門学校などに進んでおり、就職者は四四%となっております。専門性を高めるために進学する学生もいるのでしょうが、実態としては、全く関係ない進学をしている学生も多いと聞いています。また、就職についても、学科により異なるものの、同じような学生が多いのではないかと思います。私は、この原因は、学生の需要と高校の供給のミスマッチにあるのではないかと思います。卒業後に進学を考えているが、普通科の定員の関係で専門学科を受験する学生もそれなりにいるのではないかと思います。そうしたミスマッチを解消するためにも、専門学科のうち一部を普通科高校のほか、今後、県内企業においても人材不足が加速化するデジタル人材を育成するような学科に振り替えるのが、学生のニーズを満たすとともに、本県の将来のためになるのではないでしょうか。  また、少子化が加速する中、県立高校は統廃合を繰り返し、私学は縮小を続けています。地域性を見ても、県立高校の統廃合はあと数地区で限界かと思われますし、私学も経営が成り立たなくなります。他県では、大学ではありますが、私学が県立化し、入学希望者が増え、偏差値が上がった事例もあると聞いています。公立・私学の統廃合や明確な役割分担について、そろそろ本格的な議論を始めるべきではないでしょうか。  以上のことから、本県においても県立高校の専門系学科の再編や、県立・私学の統廃合など、時代に即した再編を検討すべきであると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  次に、チャレンジスクールの設置についてであります。  現在、定時制の生徒数は定数をはるかに下回っていますが、定員に達してなくても不合格になる生徒がたくさんいると聞いています。定時制に合格しない生徒は、近年私学の合格も難しく、通信制の学科がその受皿となっているようであります。中学校を卒業して就職しても離職率は極めて高く、定時制に通う生徒の多くは経済的な理由で定時制に入ったわけではなく、昼間は家でいたり、簡単なアルバイトしかしていないようです。  数年前に琴平町に「匠の学舎」という職人育成学校ができましたが、数年かかって卒業生も職人として働くようになり、ようやく軌道に乗ってきたようであります。漫然とした学生生活を送らせるのではなく、少子化、人手不足の現在、子供たちの未来のために、社会性や自分に合った必要な技術を持ってもらうことが重要なのであり、現在の定時制や通信制の在り方が的外れになっているのではないでしょうか。  そこで、現在の定時制、通信制のほかに、以前より何度も提言させていただいております、ひきこもり対策や夜間中学をも兼ねられるような、希望者を全て受入れる香川型のチャレンジスクールを県東部、県西部の二か所ぐらいに設置すべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  以上で私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)辻村議員の御質問にお答えいたします。  まず、持続可能な田園都市の構築についてであります。  都市の持つ活力や利便性と、田園の持つゆとりや安らぎを兼ね備えた魅力ある生活圏であるせとうち田園都市の創造に向けた歩みを確かなものにするため、新たな総合計画や、今定例会に見直しの素案をお示ししている第二期かがわ創生総合戦略に沿って、デジタルの実装や県内産業の育成など、人口減少問題の克服につながる様々な対策を、現状の分析を行いつつ総合的に推進していく必要があると考えております。  具体的には、議員御指摘のデジタルの実装について、今般の国の経済対策の一つであるデジタル田園都市国家構想推進交付金の積極的な活用を検討するほか、現在準備を進めていますかがわDX Lab(仮称)において、各市町や民間事業者と連携し、本県における地域の課題解決のための実証などを行い、そこで生まれたサービスの社会実装を図ってまいりたいと考えております。  外国人材の受入れにつきましては、生産年齢人口が減少する中、外国人材は本県経済の持続的発展に必要不可欠な人材となっていることから、引き続き特定技能制度の説明等を行うセミナーを開催するとともに、外国人材の受入環境の整備に要する費用に対して助成するなど、県内企業における外国人材の受入れを支援してまいりたいと考えております。  また、議員御指摘のとおり、県外や国外から資金を稼ぎ、地域経済を牽引できる産業を育成していくことが必要であることから、ものづくり分野や食品・バイオ関連分野などを成長のエンジンとなる分野に位置づけ、AIなどの先端技術を活用した生産性向上や、新産業・新サービスの創出のための研究開発を支援するとともに、国内市場が縮小傾向にある中、県内企業の海外展開を支援するため、コロナ禍においてもオンラインによる商談会や海外展開のための講座を開催するなどにより、県内産業の多角的な成長・発展につなげてまいりたいと考えております。  私といたしましては、引き続き県民の皆様をはじめ、企業、団体、各市町などと連携・協力しつつ、スピード感を持って人口減少対策に全力で取り組むことにより、持続可能なせとうち田園都市の確かな創造に向けた歩みを進めてまいりたいと考えております。  次に、瀬戸内へのサミット誘致についてであります。  本県において、二〇二三年に日本で開催予定のサミット関係の会合を誘致することは、瀬戸内や四国が世界から注目を集める中、本県の国際的な評価をより一層高めるとともに、その魅力を国内外に発信できる絶好の機会と認識しております。会合を所管する外務省からは、本年八月に会議の開催に必要な施設等の諸条件が示され、本県はサミット本体の誘致については条件に適合しないものの、関係閣僚会合は今回も開催条件を満たすことから、現在、行政や民間団体などで構成する香川県MICE誘致推進協議会と連携しながら、本県への誘致計画案を今月中旬の提出に向けて鋭意作成しているところであります。  誘致に当たっては、前回の実績はもとより、かがわ国際会議場等が感染症予防対策における国際的な衛生基準GBAC STARを中四国のMICE関連施設で初めて取得したことや、会議場や宿舎がコンパクトに集積するなどの施設としての優位性に加え、瀬戸内海、アート、食など、本県ならではの魅力を強く訴えてまいりたいと考えております。  議員御提案の大型クルーザーなどの活用につきましては、過去のサミット及び同関係閣僚会合では事例がなく、警備面や天候の影響等について慎重な検討を要するものと考えておりますが、瀬戸内エリアとしての誘致につきましては、今後、誘致を表明した瀬戸内の他県と連携した取組について検討してまいります。  私といたしましては、香川県が、世界の宝石と称される瀬戸内海に面していることを大いにアピールし、高松市や県内経済団体などとも連携しながら、本県での関係閣僚会合の開催に向け、全力で誘致活動を行うとともに、これを契機として、国際会議をはじめとしたMICEの誘致により一層積極的に取り組み、交流人口拡大と地域の活性化につなげてまいります。  次は、河川改修の推進についてであります。  近年、全国各地で水害等による甚大な被害が発生している中、県では、気候変動の影響や社会状況の変化などを踏まえ、県内を七つの圏域に分割し、圏域ごとに重点的に実施する対策を取りまとめた流域治水プロジェクトに沿って、ハード・ソフト対策に取り組んでおります。  このうち河川改修につきましては、下流からの整備を基本とし、国の予算も活用して効率的・効果的に整備を進めるために河川整備計画を策定しており、近年では、平成三十年二月に一の谷川水系など三水系において新たに策定しているほか、現在、弘田川水系において策定に向けた国との協議を進めているところであり、今後も大束川水系や摺鉢谷川水系において策定することとしております。  一方、具体的な事業の実施に当たっては、平成三十年七月の豪雨災害などを受けて、特に優先度が高い大規模事業等を計画的・集中的に推進するために、新たに令和元年度に個別補助事業として創設された大規模特定河川事業や、平成三十年度からの防災・減災、国土強靱化のための緊急三か年対策に引き続き、昨年度からは五か年加速化対策の予算を活用し、河川改修を進めております。  また、中・上流部における河川改修については、過去の家屋等の浸水被害実績を踏まえ、県単独事業により、弘田川の支川である中谷川や旧塩江町の香東川などにおいて、下流の流下能力を考慮した暫定的な河道拡幅を行っているところであります。  私といたしましては、県民の命を守ることを最優先に、今後ともあらゆる関係者が協働して、ハード、ソフト両面から流域治水に全力で取り組み、災害に強い県土づくりを推進してまいりたいと考えております。  次に、ため池の適正な保全管理についてであります。  議員御指摘のとおり、昨年十月に開設した香川ため池保全管理サポートセンターにおいては、決壊等によりその周辺の区域に被害を及ぼすおそれがある防災重点農業用ため池を中心に、昨年度から、ため池の劣化状況評価を行うとともに、適正な管理がなされるよう、ため池の管理者等に対する指導・助言等を行っております。  劣化状況評価につきましては、防災重点農業用ため池のうち、未改修のため池約千五百か所の調査を来年度前半までに完了させる予定としており、県では調査結果を基に、防災工事が必要なため池、劣化が部分的に進行して定期的な監視が必要なため池、劣化が進行していないため池の三つに分類し、このうち防災工事の必要なため池について、決壊した場合の影響等を考慮し、優先度の高いものから計画的に工事を実施していくこととしております。また、定期的な監視が必要なため池につきましては、地元での管理体制の強化が重要であることから、サポートセンターにおいて、ため池の管理者等に対し、補修・点検等に関する技術的指導・助言を行うとともに、電話による緊急の要請や相談があった場合には、機動的な対応やきめ細かな支援を行い、ため池災害の未然防止につなげてまいります。  さらに、今後は、管理者等の保全管理の技術や防災意識の向上を図るため、新たに技術講習会を開催するほか、サポートセンターによる定期的かつ継続的なパトロールを本格化するなど、管理体制のより一層の強化を図ってまいりたいと考えております。  私といたしましては、ため池の適正な保全管理の実現に向けて、今後とも各市町や農業関係者等と緊密に連携を図りながら、サポートセンターの活用に、より一層積極的に取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)辻村議員の高校教育の在り方についての御質問にお答えいたします。
     今年度から計画期間が始まった魅力あふれる県立高校推進ビジョンでは、少子化が進行する中にあっても一定の規模を維持しながら、生徒の多様なニーズに応じた学びを、全県的な視点に立ち総合的に保障するため、適正な高校及び学科・コースの配置について検討を進めることとしております。  専門学科につきましては、工業科や農業科などに加え、福祉科や情報科、造船コースの設置など、生徒の学びのニーズや産業界からの担い手育成の要請、地域の活性化の観点などに対応して設置してきているものであり、このことは、公立高校が果たす大きな役割であると考えております。  専門学科の再編に関しましては、生徒の希望や進路状況のほか、議員御指摘の時代が求めるデジタル人材の育成も含め、地域産業の動向などを踏まえながら対応してまいりたいと考えております。今後、専門学科の生徒が目的意識を持って学び、卒業後は習得した知識や技能を生かせる道に、これまで以上に多くの生徒が進むことができるよう、教育内容の充実に取り組むとともに、中学生やその保護者に、専門学科の意義や魅力を積極的に広報してまいります。  県立高校と私学の統廃合や明確な役割分担に関しましては、私立高校は独自の建学の精神に基づいて、それぞれの特色を生かした学校運営に取り組まれており、県教育委員会として統廃合等、私立高校の運営方針に関して申し上げる立場にはありませんが、公立・私立の校長が参加する校長協会研究協議会など、教育上の課題について協議を行う場を設けており、今後も、本県の高校教育の魅力向上や課題解決に向けて、力を合わせて取り組んでまいりたいと考えております。  学び直しのための昼夜間の定時制高校であるチャレンジスクールの設置につきましては、本県では、定時制・通信制課程において、スクールカウンセラー等と連携した支援や、卒業後に自立した社会生活を送れるようキャリア教育の一層の充実を図っているところです。併せて、魅力あふれる県立高校推進ビジョンにおいて、定時制・通信制課程単独の高校についての研究を行うこととしておりますが、その中で、議員御指摘の希望者全てを受け入れるチャレンジスクールにつきましても、東京都や神奈川県などに設置されている先進校の調査を行うなど、引き続き研究をしてまいりたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、生徒が学ぶ意欲を持って高校に進学し、その可能性と能力を最大限に伸ばしていけるよう、県立高校の魅力化と、社会動向や時代のニーズに応じた学びの場の多様化に積極的に取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。  都築信行君。    (都築信行君登壇、拍手) ◯都築信行君 議長からお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。  まず最初に、デジタル社会の推進についてお伺いいたします。  国においては、今年九月一日にデジタル庁が発足し、行政手続のオンライン化、情報システムの標準化・共通化、マイナンバーカードの普及などに取り組んでおり、今月の中下旬には新重点計画も公表される予定と伺っております。県においても、かがわデジタル化推進戦略が策定され、今後の具体的な取組が大いに期待されるところです。  さて、デジタル社会構築に向けてのスローガンは、「誰一人取り残さない」です。その言葉どおり、実際に「私」は、「我が社」は、「置いてきぼりにされなかったな」と皆さんが感じていただけるかどうかが大事です。具体的な施策を通じ、その恩恵が感じられるよう、ぜひ全庁を挙げて注力をしていただきたいと思います。  まず、一点目は、デジタルディバイド(情報格差)の解消です。  社会のデジタル化が進む一方で、デジタル機器に不慣れで、情報を受け取りにくいとされる高齢者らへの支援が課題になっております。ある自治体が行った高齢者対象のアンケートでは、スマホやタブレット端末を持っている人が六割を超える一方、スマホを持たない人が購入を検討しない理由として、「費用がかかる」よりも、「必要性を感じない」、「使い方が分からない」のほうが上位になっているとのことでした。  現在、国のデジタル活用支援推進事業を活用して、一部の自治体が携帯電話会社と連携して、高齢者向けスマートフォン教室を公民館などで開催しておりますが、国の計画では、全ての市町村で開催できるのは令和七年度を目標としているようです。  そこで、我が県内のデジタルディバイドを早期に解消しようと、多くの県がその取組に深く関わり、推進を始めております。山口県では、市町や携帯電話通信事業社四社などと専門部会を設置し、スマートフォン教室を開く携帯ショップと市町を結びつけたり、講師人材を育成し、セミナーや相談会を開く予定と聞いております。近県では、徳島県で、人材養成講座を通じて育成した人材を市町村や企業、学校現場に派遣するデジタル人材バンク事業に乗り出しますし、岡山県でも、全市町村が参加する対策専門部会を設置し、今年度は国や先進自治体の取組の共有、職員の研修、通信事業者と市町村のマッチング支援などを行うそうです。情報格差の解消を重要課題の一つとして捉え、国や市町に任せるのではなく、どの県も本気で取り組む姿勢が伝わってまいります。  ついては、高齢者らを取り残さないように、県においても国や市町と連携し、皆がデジタルの恩恵を感じられるよう、きめ細かな取組をぜひ御検討いただきたいと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、中小企業における活用です。  大手企業はともかくとして、中小企業ではデジタル化の手法や効果に関する情報が不足し、デジタル人材も少ないのが現状です。国にはITツール導入のためのIT導入補助金はありますが、自社での活用効果や、どのツールがふさわしいのか判断がつきにくく、デジタル化へのハードルは高いようであります。特に県内でも立地の多い機械・金属加工系の、いわゆる工場に対しては、IT企業でさえ知見が少ないとも言われます。その促進策として、島根県のように、県内の中小企業をIoT機器を設置する実証実験工場として選定し、その取組について参考にしていただけるよう公開する事業を始める例もあります。  ついては、県下の中小企業のデジタル化の促進についてお考えをお伺いいたします。  最後に、デジタル人材の育成と雇用対策についてです。  便利なITやAIですが、これらを使いこなせるデジタル人材の不足が、今大きな課題となっております。政府の「二〇二〇年度版ものづくり白書」でも、デジタル人材を「業務上必要」と考えているものの「質・量とも充足できていない」と答えた企業は九割近くに上っております。今後、地方においてデジタル化を推進するため、その担い手となる人材の確保が必要であり、県では昨年オープンしたSetouchi─i─Base(セトウチ・アイ・ベース)において、デジタルに関する専門的なスキルを学ぶための講座を開催するなど、県民の自主的な学びを支援しているところですが、こうした人材育成が、コロナ禍で影響を受けている方々の雇用にもつながればと思います。  例えば、第二の就職氷河期世代をつくらないよう、デジタルに親和性の高い若者を企業と結びつけるための積極的な取組が必要です。大阪府では、民間企業等の協力の下、予算をかけずに新型コロナウイルス禍で就職を希望する若者にデジタル関連の研修をした上で、中小企業とマッチングさせるモデル事業を始めるそうです。  また、コロナ禍により、女性の一部に、雇用や生活が厳しい状況に追い込まれている方もいます。デジタル分野での仕事は、非肉体労働で勤務場所の制限も少なく、女性にとって比較的働きやすい職種とされ、育児や介護をしながらでもテレワークで取り組めます。女性にデジタル教育の機会を提供し、広く雇用に結びつける女性デジタル人材の育成に積極的に取り組んでいくべきと考えます。  つきましては、デジタル分野での人材育成と雇用対策について、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、地球温暖化対策についてお伺いいたします。  温暖化の進行が「気候危機」と呼ばれる深刻な脅威となる中、国では、十月二十二日に地球温暖化対策計画改訂版を閣議決定し、我が県も、この十月に香川県地球温暖化対策推進計画を策定しております。県内での二〇一七年度の温室効果ガス排出量約一千万トンを、八年後の二〇二五年度には約八百五十万トンに抑えるというものです。具体的な数字も示され、評価をしております。今後、さらに県民に伝わりやすくするように、部門別の削減目標やその対策などを示すことも一考です。厳格な進捗管理と併せ、御検討をお願いしたいと思います。  県では、今後、県庁内の組織体制を強化し、脱炭素に向け部局横断的に取り組むとともに、中長期的な施策工程表を策定し、市町、企業等と連携しながら取組を進めていくと伺っております。  そこで、本日は、国や他県の先進事例等も参考に、その具体的な取組について、提案も含め質問をさせていただきます。  まず、身近な家庭部門での取組です。CO2排出量の一八%を占め、その削減は喫緊の課題です。  その第一は、県民意識の向上とライフスタイルの見直しについてです。  脱炭素社会の実現のためには、県民一人一人の協力が不可欠ですが、そのためには、まず、意識変革と危機意識の浸透が急がれます。気候危機の自分事化や、生活習慣を変えることがより快適で健康なライフスタイル等に資するといった共感を生み出し、実際のCOOL CHOICEにつながっていくことが大事であります。いま一度、取組を点検し、インターネットやSNSなどの積極的な活用はもとより、影響力・発信力のある者等によるきめ細やかな働きかけや、ナッジ理論等の活用、また、一方的な発信だけではなく、地元の将来を担う若者の声を聴き、当事者意識の向上に積極的に働きかけることなども大事です。  なお、環境省では、環境に配慮した消費行動にポイントを付与するグリーンライフ・ポイント制度の取組を新たに始める予定であり、CO2排出量の見える化に向けて、カーボンフットプリントと呼ばれる取組も行われているとのことです。こうした国の動きに合わせ、県としても、これまで以上の施策展開が必要だと考えますが、いかがでしょうか。  家庭関連の第二は、住宅の省エネルギー化についてです。  国土交通省は、二〇二五年度以降、新築住宅に省エネ基準適合を義務づける方針であり、早速、来年度から中古住宅の一般的な改修を補助対象に加えるほか、トップレベルの省エネ性能を備える新築住宅に対する支援を強化するなど、省エネ住宅への一段の取組を開始いたします。  こうした国の展開に合わせ、特に、既存住宅への取組について、例えば、断熱性能の向上が図られる一部改修も対象にした支援制度を設けるなど、県としても住宅の省エネ化を一層促進すべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、CO2排出量の二三%を占める運輸部門についてお伺いします。  菅政権の下公表されたグリーン成長戦略には、二〇三五年までに新車販売で電動車一〇〇%を実現する旨が明記され、エネルギー効率に優れる次世代自動車の普及拡大は必須であります。導入補助や充電設備等のインフラ整備の考え方についてお伺いをいたします。  最後に、再生可能エネルギーのさらなる促進についてです。  削減目標の達成には、再生可能エネルギーの主力電源化が不可欠であります。中でも、比較的短期間で設置可能な太陽光発電の拡大は必須です。しかし、現状は、事業用では採算面や用地確保の面等から、住宅等用はコストの面等から、県内総住宅数の一割程度の普及にとどまるなど、近年は伸び悩んでおります。前者について環境省は、地域主体の再エネ推進を目指し、再エネ開発の適地を自治体がゾーニングすることなどを後押ししようとしており、県の積極的な関与も期待されます。後者についての費用面ですが、さらなる補助金の上乗せや、近年は、初期費用の負担が不要な第三者所有モデルと呼ばれる手法も広がりつつあり、こうした取組の推進により、導入のハードルを少しでも下げる必要があると考えます。  国土交通省は、新築住宅の六割に太陽光パネルの設置を目指すとし、また、全国で初の宣言を行った長野県は、二〇五〇年までに再エネの生産量を三倍以上にする方針を掲げ、全ての建物に太陽光パネルの設置を目指すようであります。  日照時間の長い我が県も、あらゆる手段を活用し、住宅等への太陽光パネル設置に向けた一段の環境整備や、今後の需要増が見込まれる蓄電池に対する購入補助の拡充など、さらに手を打っていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。  以上、我が県における温暖化対策について、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、若年がん患者への支援についてお伺いをいたします。  ライフステージに応じたがん患者の医療と支援の充実が必要であることは言うまでもありませんが、中でも、今議会では、AYA世代、いわゆる十五歳から三十歳代までの思春期・若年成人における若年がん患者への支援について取り上げさせていただきます。  国立がん研究センターによれば、日本では、毎年約二万人のAYA世代が、がんを発症すると推定されています。同センターの院内がん登録の集計結果によると、AYA世代のがんは二十五歳を過ぎると飛躍的に増加し、三十歳から三十九歳で発症している者が、四十歳未満のがん全体の約七〇%、AYA世代のがんに限ると約七五%を占めます。二十歳以後のがんの症例の約八〇%が女性で、年齢に従って増加し、二十五歳以降に見られる急激な増加もあり、女性における子宮頸がんと乳がんの増加によるものだそうです。  本県においても、平成二十九年の県内のがん罹患者数は八千三百八十人で、そのうちAYA世代の若年がん患者となる十五歳から三十九歳は百七十五人で全体の二%という状況です。年齢ごとに見ても、二十五歳過ぎから増加し、年齢が高くなるほど増加している傾向は、全国の状況と同様で、女性の乳がんや子宮頸がんも上位となっております。  AYA世代の方たちは、親から自立したり、生活の中心が家庭や学校から社会での活動に移行したりしていくなど、大きな転換期を迎える時期にあります。このような時期にがんと診断されると、心身に様々な影響を受けます。また、成人のがんに比べて、がんの罹患率や死亡率は低いですが、逆に診察データなどの情報の蓄積が少ないため、初期の段階で見つけることが難しいなど、不安を抱く人も少なくありません。患者さん一人一人のニーズに合わせた有効な対策・支援が必要になってくるところであります。  そこで、若年がん患者への支援について、これまでの取組について、まずお伺いをいたします。  さて、がん患者を取り巻く環境には様々な課題があります。例えば、経済的な面です。もちろん、AYA世代のほとんどが公的な医療費助成制度を利用しておりますが、いわゆる上乗せとなる民間保険加入率は二十代で五五%と低く、十分とは言えないのが現状です。一方、がん医療の進歩もあって、入院から外来通院による治療が可能となってきており、学業や就労を継続しながら治療を受けている若年患者も増加しております。その中には、抗がん剤治療による副作用での脱毛や手術による外見上の変化などにより、精神的な悩みやストレスを抱えている方も多く、就労・社会参加と治療を両立させていくためには、そのような悩みやストレスに対するサポート、外見上の変化をケアするアピアランスケアが必要ではないかと考えます。具体的には、医療用ウィッグや乳房補整具などのニーズがあるようですが、高額なものでもあり、保険適用外での購入は負担が重く、賄えないとの意見もあります。  そこで、その負担を少しでも軽減するため、全国では既に、ウィッグ購入費助成は十六県、それに補整下着、人工乳房等も重ねて助成を実施しているのは十四県と、アピアランスケアに対する支援実施県が年々広がっているのが現状です。患者に寄り添い、不安・負担を軽減することにつながる施策として、我が県でも若年がん患者のアピアランスケア支援制度の創設を強くお願いしたいと思いますが、知事の御所見をお伺いをいたします。  この関連で最後にもう一点、患者を取り巻く厳しい環境について御紹介をさせていただきます。  終末期に至ったAYA世代のがん患者は、その六割以上が在宅療養を希望します。そのとき、介護に対する支援が不足しているとの指摘があります。がん患者が在宅で療養する場合、二十歳未満では小児慢性特定疾病の医療費助成などが受けられ、四十歳以上では介護保険が適用されるため、様々な支援制度があります。その一方で、二十歳から三十九歳の患者は利用できる公的支援がなく、サービス費用は全て自己負担となり、支援の空白世代とも言われております。若年がん患者が、住み慣れた自宅等で自分らしく安心して生活が送れるようにするためには、在宅での療養に対する支援を行うこと、具体的には居宅サービス利用などの経費の一部を助成することが効果的ではないかと考えます。既に、お隣の愛媛県を含め九県が、若年がん患者の在宅療養生活支援制度を立ち上げておりますので、私からも本県での創設を強く要望しておきたいと思います。  最後に、ドクターヘリについてお伺いをいたします。  二〇〇一年度に全国五つの基地病院でドクターヘリ事業はスタートいたしました。財政的な課題もあり、当初は遅々として進みませんでしたが、二〇〇七年六月に、財政措置も盛り込んだいわゆるドクターヘリ特別措置法が整備され、全国にも着実に広がってまいりました。その効果は、言うまでもなく遠距離にある患者を早期に適切な医療機関につけ、助かるべき命を救うことであります。民間団体の研究では、ドクターヘリで搬送された人は、救急車による搬送に比べ平均入院期間が十八日短く、入院費も平均百十万円安かったとのデータがあります。死亡率減少や後遺症の軽減だけでなく、社会的コストや医療費削減にも大きな効果があります。  本県も二〇二〇年二月に導入が決まり、いよいよ来年度から本格運航が始まります。県議会においても、二〇〇三年に、その導入を求めた公明会派の質問を皮切りに、多くの質疑がなされてきたところであります。  そこで、本格運航に向けて、既導入自治体の運用も参考に、何点かお伺いをしたいと思います。  まず、操縦士の人材確保についてです。  日本航空医療学会のまとめによると、二〇二〇年度の全国のドクターヘリ出動数は二万五千五百七十三回に上ります。現時点での操縦士の確保はもちろんできていると思われますが、今後のことが気がかりです。全日本航空事業連合会の調査によると、二〇一五年二月末時点でドクターヘリ操縦士の六五・五%が五十歳以上となっており、将来、操縦士の確保が困難になると懸念され、若手操縦士の育成は急務とされます。このような状況を踏まえ、今後の操縦士の人材確保についてどのようなお考えなのか、お伺いをいたします。  また、ドクターヘリに搭乗する医師・看護師の人材確保も大事です。対応の一つとして、複数の救命救急センター等が共同でドクターヘリ及びヘリポートを管理し、それぞれの医療機関から医師を交代で搭乗させるといった複数の医療機関の共同運用方式も考えられます。既に九道県が複数医療機関の共同運用方式を導入し、各医療機関の負担軽減を図っております。香川県も二つの医療機関を基地病院として運航すると伺っておりますが、基地病院以外からの医師と看護師の派遣についても検討しておくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。  また、搭乗する医師・看護師等の医療クルーに対するドクターヘリの運用・運航に必要な知識や技術を習得させるための教育体制の整備にどのように取り組むのか、お伺いをいたします。  次に、島嶼部や山間地域などでの活用についてです。  急患は場所を問わず発生し、ドクターヘリへのニーズが高いのは、救急搬送に時間を要する地域となります。ただ、場所によって離着陸が不可能な所もあります。市町や消防とも連携し、必要に応じヘリポートを整備していくことも大事ですし、事前に地域エリアでの離着陸の可否なども整理しておけば、緊急時にも即座に対応できます。ついては、ニーズの高い島嶼部や山間地域などでの活用についてお伺いをいたします。  また、急患は昼夜を問わず発生しますが、夜間は飛行の安全性や人員体制の確保の問題で、日中のみの運航とお聞きをしております。その代替手段として、天候や時間にかかわらず、迅速に医師や看護師を現場に派遣するラピッドカーを、ドクターヘリの基地病院には配備しておくべきではないかと考えますが、この導入検討について要望しておきます。  次に、県境を越えた広域運用についてです。  ドクターヘリは都道府県単位で運航されており、配備数は多くの県で一機のみです。したがって、ドクターヘリの出動中には出動要請が入ると対応ができません。もちろん、機数を増やすのも現実的ではありません。一方、地理的に、県内のある地域が隣県のドクターヘリ基地病院に近い場合もあり、最初から隣県のドクターヘリが出動できれば、救命率は大幅に向上いたします。このような生活圏を重視した出動システムの構築に向け、隣県同士が協定を結んで重複要請に対応できるようにしている地域もあります。香川県も検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。  次は、消防組織や医師会との連携です。  ドクターヘリ出動には、直接患者のいる現場出動と、救急車で運んだ病院で処置できずヘリを要請する病院間搬送があります。初動で深く関わるのが消防組織です。現場出動が九割以上を占める千葉県、神奈川県や、逆に病院間搬送が多い県もあり、まちまちのようです。消防組織との連携は大事であり、消防署管内で対応が違ってくることのないよう、事前に関係機関と調整し、ドクターヘリの要請に当たっての基準等を決めておくべきと考えますが、いかがでしょうか。  最後は、ドクターヘリの安全管理体制についてです。  平成二十八年には神奈川県ドクターヘリが落着する事故も発生しており、安全運航が最も大事です。事故が起こらないように、安全面での管理体制や具体的な運航要領、運用手順書の作成についてどのように整備していくのか、お伺いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)都築議員の御質問にお答えいたします。  まず、デジタル社会の推進についてであります。  デジタル化に戸惑いを感じる高齢者などへのサポートにつきましては、議員御指摘の国のデジタル活用支援推進事業が、今年度、県内十二市町で実施されると承知しておりますが、これに加え、五市町では公民館事業等として独自のスマホ教室を実施しているほか、県におきましても情報通信交流館e─とぴあ・かがわにおいて、今年度から新たにスマートフォン講座を実施しているところであります。また、県と各市町との連携のため設置したかがわスマート自治体推進協議会では、デジタルディバイド対策も取り上げ、先駆的な取組を進めている各市町の手法の横展開や、携帯電話事業者等が協力可能な内容等に係る情報共有などに取り組んでおり、引き続き国の事業の実施状況を注視しつつ、各市町と連携しながらデジタルディバイド対策に取り組んでまいります。  中小企業のデジタル化の促進につきましては、県では、デジタル化を推進しようとする中小企業をITコーディネーター等の専門家が訪問し、個別コンサルティング等を行うとともに、セミナーの開催等によりデジタル化の優れた取組事例を広く県内の中小企業に紹介しております。また、産業技術センターでは、現在、人と協働で作業できるロボットや、複数の工作機械をネットワークでつなぎIoT化している疑似的なスマート工場を公開するとともに、IoTを活用したデータの収集・分析や、AIの生産工程への導入などの事例を紹介する講習会を開催するほか、工場等におけるデジタル化の個別具体的な相談にも対応しており、かがわ産業支援財団などの関係機関とも連携し、デジタル技術の導入・活用に向け、引き続ききめ細かな支援に努めてまいります。  デジタル人材の育成につきましては、Setouchi─i─Base(セトウチ・アイ・ベース)において各種の人材育成講座を開催する中で、誰もが参加しやすいよう、対面またはオンラインを選択できる講座も設けるとともに、県立高等技術学校においては、施設内で行うCADソフトやウェブデザインの講習に加え、民間教育訓練機関を活用して、OA事務やウェブ・プログラミングの講習等を転離職者向け訓練として実施しており、一部の訓練には無料の託児サービスを設定するなど、女性の職業能力向上への支援も行っております。  こうして学んだデジタル技術を県内の雇用につなげるため、ワークサポートかがわにおきましては、今月十二日にデジタル分野に特化した、求職者と県内企業がオンラインで個別面談を行うマッチングイベントを開催することとしており、今後とも県内企業が求めるデジタル分野の人材像をしっかりと捉え、Setouchi─i─Base(セトウチ・アイ・ベース)の講座や県立高等技術学校の訓練の充実を図り、求職者と県内企業とのマッチングがより一層進むよう取り組んでまいります。  私といたしましては、全ての県民の皆様がデジタル化による利便性を享受でき、県内事業者が力強く着実に成長していける「安心・便利・豊か 人が主役のデジタル社会・かがわ」の形成に向けて、積極的に取り組んでまいります。  次は、地球温暖化対策についてであります。  県では、各市町や関係機関と連携を図りながら、県民全体で省エネルギー行動に取り組む意識を醸成し、省エネルギー行動が日常生活や事業活動の中に自然に組み込まれることを目指した省エネ県民運動に取り組んできましたが、脱炭素に向けては、これまでよりも踏み込んだ、ライフスタイルやワークスタイルの転換につながるような取組を進める必要があると考えております。そのため、気候変動による自然災害の発生リスクや熱中症などの健康への影響などについて効果的な情報発信を行うとともに、近年、拡大しつつあるデジタル化やテレワークなどの生活様式の変化を踏まえた省エネルギーの取組を積極的に発信するなど、これまで以上の取組を展開していくこととしております。  また、徹底した省エネルギーを進めるためには、住宅そのものの省エネルギー化などを促進していく必要があると考えており、現在、国において進められている省エネ基準への適合義務づけ等の制度の見直しや、各種支援制度の整備について、引き続き国の動向を注視し、情報収集に努めていくとともに、県としても必要な対策を検討してまいりたいと考えております。  次世代自動車につきましては、環境性能に優れているだけでなく、災害時の非常用電源として期待されており、先般策定した香川県地球温暖化対策推進計画では電気自動車などの普及台数を目標に設定したところであり、充電設備等のインフラ整備と併せて、国において新たな補助制度の動きもあることから、県としては、自動車販売事業者や関係団体等と協力・連携しながら、まずは、これらの補助制度の情報提供や積極的な活用を促すなどにより、導入を促進してまいりたいと考えております。  また、住宅等への再生可能エネルギーの導入促進につきましては、これまでも住宅用太陽光発電設備や蓄電池に対する補助を実施してきたところでありますが、脱炭素に向けては、より一層の取組が必要であることから、これらの取組に加え、いわゆる屋根貸しなど、設置者の負担軽減につながるような取組も含め、様々な支援方法を検討していくこととしております。  地球温暖化対策は多岐にわたっており、私といたしましては、国や各市町との連携を十分に図るとともに、県民の皆様や事業者の方々の御理解と御協力をいただきながら、様々な分野の取組を鋭意進めてまいります。  次に、若年がん患者への支援についてであります。  県では、第三次香川県がん対策推進計画に基づき、「県民一人ひとりが、がんを知り、お互いに手をたずさえてがんと向かい合う香川の実現」を目指して、関係機関・団体等と連携し、がんの予防、早期発見、がん医療の水準向上とともに、がん患者に対する支援にも取り組んでいるところであります。  このうち、若年がん患者に対するものとしては、子供を望むがん等の患者が、生殖機能を温存するための治療に要する費用の一部を助成する制度を令和元年度から県独自に開始し、今年度からは、国の小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業による助成が実施されたことに伴い、助成額や対象年齢などの制度を拡充しており、先月末までに十七件の助成を行いました。また、この制度の周知を図りながら、患者の方々への相談や情報提供に対応するための医療従事者向け研修会を毎年度開催するなど、医療機関における支援体制の構築にも努めております。  次に、若年がん患者に対するアピアランスケア支援につきましては、令和元年に実施したがん患者ニーズ調査によると、療養生活を続ける中でウィッグ購入への補助などを希望する意見があり、がん患者の方々が外見を気にしながら自分らしく生活していくことについての意識の高まりが見られたところであります。特に、若い世代では治療を継続しながら仕事などの社会活動を続けていく方も多いと思われることから、議員御提案のウィッグや胸部補整具の購入に助成することは、がん患者やその家族が抱える不安の軽減につながるものと認識しており、私といたしましては、先進的な自治体の取組も踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、ドクターヘリについてであります。  本県におけるドクターヘリの導入につきましては、来年度の運航開始に向け、基地病院となる県立中央病院と香川大学医学部附属病院などで構成するドクターヘリ運航調整委員会において、課題の検討や準備を進めているところであります。  まず、運航に必要な人材確保のうち、操縦士につきましては、委託先の運航会社において、必要な人員の確保に加え、若手操縦士も養成していると伺っており、継続した運航に対応できるよう、引き続き人材確保を求めてまいります。また、搭乗する医師等につきましては、基地病院の医師等を中心に育成・確保しておりますが、運航による負担が過度にならないよう、基地病院以外からの医師等の派遣についても検討してまいります。さらに、搭乗する医師等の教育につきましては、国が実施する研修会への参加や実機による訓練などに取り組み、資質の向上に努めてまいります。  島嶼部や山間部等での活用につきましては、地元市町や消防機関の御協力も得ながら、離着陸が可能な場所の選定を進めているところであり、患者発生時に迅速な対応ができるよう調整に取り組んでまいります。  県境を越えた広域運用につきましては、他県での事例も参考に、近県のドクターヘリとの広域的な連携協力体制の構築など、ドクターヘリの導入効果を最大限に生かした体制整備に取り組んでまいります。  消防組織等との連携につきましては、現在、各消防本部等とも調整しながら要請基準や運航ルールの作成に取り組んでいるところであり、今後、運航要領として取りまとめた上で、県下で統一した運用が着実に行えるようにしてまいります。  ドクターヘリの安全管理体制につきましては、国等が実施する研修会に参加するとともに、安全運航のための運用手順書等につきましても、基地病院や運航会社と検討しているところであります。また、運航開始後は、各事例に基づいた安全管理に係る検証を実施する予定であり、継続した安全運航・安全管理に取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。
                            午前十一時四十九分休憩                         午後 一時  七分開議     ─────────────────────────────   出  席  議  員    高  城  宗  幸 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    白  川  和  幸 君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    新  田  耕  造 君    松  原  哲  也 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君   欠  席  議  員    十  河     直 君    岡  野  朱里子  君    西  川  昭  吾 君    綾  田  福  雄 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事    浜  田  恵  造 君           副  知  事    西  原  義  一 君           病院事業管理者    太  田  吉  夫 君           審  議  監    大  山     智 君           政 策 部 長    淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長    椋  田  那津希  君           危機管理総局長    寺  嶋  賢  治 君           環境森林部長     木  村  士  郎 君           健康福祉部長     土  岐  敦  史 君           商工労働部長     近  藤  清  志 君           交流推進部長     佐  藤  今日子  君           農政水産部長     新  池  伸  司 君           土 木 部 長    西  川  英  吉 君           文化芸術局長     小  川     剛 君           子ども政策推進局長  吉  田  典  子 君           会計管理者      田  中  一  裕 君           病 院 局 長    岡  田  総  一 君           デジタル戦略総室長  井手下   慶  博 君           知事公室長      尾  崎  英  司 君           教  育  長    工  代  祐  司 君           公安委員会委員    岡     みゆき  君           警察本部長      今  井  宗  雄 君           代表監査委員     木  下  典  幸 君           監査委員事務局長   田  井  慎  二 君           人事委員会委員長   関  谷  利  裕 君           人事委員会事務局長  森  岡  英  司 君           労働委員会事務局長  河  内  一  裕 君    ───────────────────────────── ◯副議長(高城宗幸君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  白川和幸君。    (白川和幸君登壇、拍手) ◯白川和幸君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問させていただきます。  世界を震撼させた新型コロナウイルス感染症は、幾度か感染の拡大と収縮を繰り返し、最近はワクチン接種が進んだこともあり、小康状態を保っていましたが、十五番目の変異型オミクロン株の国内での感染拡大を抑える水際対策に関する報道が連日行われています。  コロナ禍により、経済活動は一変しました。まず大きな変化があったのは、人流が抑制されたことです。コロナ禍の前は、国は、二〇二〇年に四千万人の訪日外国人旅行者数を目標として、観光産業の拡大を積極的に支援していました。それが、コロナ禍では三密が感染拡大につながるとして人流の抑制を余儀なくされた結果、二〇二〇年の訪日客は四百十一万人と、目標の僅か一割にとどまりました。現在は感染が落ち着いておりますが、旅行や飲食を営む事業者は、様々な対策や、国や県、市町の支援を受けながらも、以前の状態には程遠い状況となっています。  また、物流は人が生きていく上で必要な物資を運ぶために止めることができないものであり、新型コロナ感染症が発見される前はグローバル化を目指し、世界の物流は整備されていたはずでしたが、感染防止のための検疫強化で物流は滞留し、半導体や食肉、石油、石炭などあらゆる分野で品不足が起こり、インフレ圧力がかかっています。一方で、業務筋に向けた米は例年の取引価格を大きく下回り、先日お話を伺った兼業農家の方は、「苗を買い、肥料や農薬を買い、トラクターやコンバインの支払いをしながら育てたお米をカントリーに入れたが、収めた米からの収入では農協への支払いに足りないから、追加でお金を払いに行った。ばかばかしい。」と嘆いていらっしゃいました。お米は安くなっていますが、小麦、食用油、精肉は値上がりを続けています。買物に係る負担が増し、消費意欲が落ちてしまっては、これまでのビジネスモデルが通用しなくなり、多くの飲食店や卸、商社、生産者の中で、今後、事業継続が難しくなる方も出てくると思います。また、他の分野でも同じようなことが起きていることは想像に難くありません。  しかしながら、コロナ禍という逆境から絶対に立ち直れないということはありません。コロナ禍の先を見極めながら、新たな成長分野を模索する経営者の方々にお会いしましたが、皆さん厳しい状況の中で現状を分析し、それを踏まえ創意工夫し、危機を乗り越えつつ、自身の強みを生かそうと奔走しておられました。コロナ禍の中で生き残り、かつ成長する事業の経営者のお話で共通するのは、企業はただ利益を追求するのではなく、企業の社会的責任や共通価値の創造を社員と共有し、それを実現することにあるというSDGsに通じる理念を明確に実行している点にあります。コロナ禍において苦しい状況の企業は多いですが、その打開策は、それぞれの企業が自身の存在意義を問い直し、強みを再認識することであり、その実践によって、今後の飛躍につなげることができるものだと受け取りました。  持続可能な組織・会社・コミュニティーを構築していくためには、これからの社会で何が求められ伸びていくのか、そのために自身が役に立てる強みは何か、それぞれの存在意義を見詰め直し、お互いにアイデアを持ち寄り社会課題を解決していくことができるようなコンソーシアムをより一層整備していかなければいけないと考えます。そういった意味で、私自身、様々な分野の方々から意見を聴取しながら、県政に反映させていきたいとの思いをより強くした上で、これから質問をさせていただきます。  質問の第一点目は、瀬戸内国際芸術祭における利便性の向上についてであります。  来年四月十四日から瀬戸内国際芸術祭二〇二二が開催されます。前回開催後の期間は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の時期とも重なり、世界中に暗雲が漂っておりましたが、来年の芸術祭がこれからの明るい未来を象徴する祭典になることを期待しております。  二〇一九年の瀬戸内国際芸術祭では、約百十八万人と過去四回の中で最も多くの来場者が訪れました。これらの方々は、香川の島々を巡り、各地でお接待など地元の歓迎に触れることで、香川により親近感を持ってもらうことができたのではないかと思っています。二〇一〇年以来、三年に一度の開催という実績が浸透し、最初は十八の国と地域から七十五組の作家の参加でしたが、二〇一九では三十二の国と地域から二百三十組の作家が参加するなど、瀬戸内国際芸術祭に出品する芸術家の数も増えてきています。  このように来場者数も規模も拡大してきており、次回の開催でも多くの来場者が見込まれることから、会場地における宿泊や飲食の事業者も大変期待しているものと思います。実際、コロナ禍の中、地元商工会の主催する創業塾にも飲食店やゲストハウスを始めたいと考えた方々による応募が数多くあったと伺っています。着実に歩みを進めてきた瀬戸内国際芸術祭ですが、まだまだ伸び代があり、来場者の満足度向上のために少しずつ改善し、ブラッシュアップをしていただければと思います。  前回までの実施では、島に渡る船乗り場においてチケット購入のために行列ができてしまい、順番待ちに時間を取られた結果、周辺のテナントや施設での催しに人が流れなかったことを惜しむ事業者の声を聴きました。また、総括報告に掲載されたアンケートでも、キャッシュレス決済の導入や翻訳機の台数増加など、来場者の利便性向上を図る必要性について触れられているものがありました。これまで回を重ねながら利便性向上に向けた取組が行われているものと思います。そういった取組が、「来てよかった」という満足度の向上につながるとともに、家族や友人を伴った再度の来県を促し、県内各所の観光地巡りの呼び水となっていると実感しています。県内外、国外からの来場者に作品の魅力を訴えかけると同時に、定期的に開催されるこのイベントを通じて島嶼部に住む人々の日常に興味を持ってもらうことは、移住促進にも大きく寄与するのではないかと感じるものであります。  今回はコロナ禍の影響を考えますと、国外からの来場者は数が絞られるか、もしくは国内から移動してくる方に限られる可能性はありますが、心待ちにしている方々も多くいると思われます。多くの方々の期待に応えていただくためにも、コロナの感染拡大を防止する取組は継続していただくことになると思いますが、前回の諸課題に対する改善や新たな取組も行っていく必要があると考えます。改善を進めることにより来場者の行動範囲を大きく広げ、地域での催しや飲食、体験により多く触れてもらうことで、一層思い出に残る観光になると思いますし、行動範囲の広がりは関係人口を増やし、そのことによって瀬戸内国際芸術祭に対して、多くの地域住民の「協力できることはないか」、「もっと盛り上げていくには何をすればよいか」という自発的なマインドを醸成することにつながるのではないかと期待します。  そこで、来年春からの瀬戸内国際芸術祭開催に向け、来場者が効率的に芸術鑑賞や観光ができるよう、県としてもよりよいサービスの提供を可能とする取組を進めていると思いますが、現在の取組状況について知事にお伺いをいたします。  質問の第二点目は、バリアフリートイレに関する取組についてであります。  いわゆるバリアフリー法が令和二年に改正され、令和三年四月からバリアフリートイレの適正利用の推進が、国、地方公共団体、施設設置管理者等及び国民の責務として規定されました。以前は、多目的トイレ、多機能トイレと言うことが多かったのですが、その多目的、多機能という言葉から、一般の方であっても普通に使ってもよいと受け取られ、利用者が集中するなどといった問題に対応するため、高齢者障害者等用便房としての位置づけが明確にされたということです。  国土交通省の調査によりますと、車椅子使用者やオストメイト、子連れの利用者など本当に必要とされる方がバリアフリートイレで待たされたときに、トイレから出てきたのが障害者に見えない方だったということもあったようですが、本当に必要としている方に迷惑をかけないように、今後も実践していかなければならないと思いを新たにいたしました。  今申し上げたバリアフリートイレを必要としている方の中に、オストメイトという聞き慣れない言葉がありましたが、皆様御存じでしょうか。オストメイトとは、病気や事故などにより、腸の一部を切除するなどしておなかに排せつのための人工肛門・人工膀胱、いわゆるストーマを造設した人のことです。オストメイトは、ストーマに装着したパウチと呼ばれる排せつ物をためる袋から排せつするために、バリアフリートイレの汚物流しを使用します。私の後輩が大腸がんに罹患し、人工肛門の生活を余儀なくされ、汚物を流す場所を探すのに苦労した経験から、バリアフリートイレに汚物流しを増設することで、同じような悩みを持つ方の不便を解消することにつながるのではないかと話しておりました。また、つい最近会った同級生も同じようにがんを患い、乗り越えたものの、これから一生袋を携帯する生活が続くので、処理できるところが増えてほしいと訴えていました。これらのような声もあり、これまで私が知らなかっただけで、実際には多くの方が困っていたのではないかと思い至りました。  大腸がんなどの治療に伴いオストメイトになるケースがありますが、がんは今まで二人に一人の方がなると言われるほど身近な病気となっており、その中でも大腸がんは罹患者数や死亡数が上位にあります。がんは昔は不治の病でありましたが、今の医療技術であれば、ステージIVであっても立ち直ることは可能であります。若くても発症しますし、人生百年と言われる中、克服した方が以後の長い人生において、心理的に行動範囲を制限しないでもよい社会をつくることは重要なことであると考えます。  自分もいつか何かしら、人に頼らなければならない状況に陥る可能性は十分にあります。誰かに頼らなければならなくなったときに、ちょっとした思いやりや配慮がなされた社会になっていれば、それだけで前向きに生きていけるのではないかと思います。バリアフリートイレや汚物流しの設置場所の増設が簡単に実現するとは思いませんが、さきに述べたように、本当に必要とされる方が必要なときに利用できるようにするために、適切な利用を呼びかけることはできるのではないでしょうか。  また、バリアフリートイレや汚物流しを設置している施設がどこにあるのかすぐに分かるような環境が整っているだけでも、当てもなく探し回らなくてもよくなり、安心して外出できるようになると思いますので、その方法を検討する必要があると考えます。  そこで、バリアフリートイレや汚物流しの設置に向けた働きかけと設置場所に関する周知について、現在の県の取組状況と今後の取組方針を知事にお伺いをいたします。  質問の第三点目は、HACCPに沿った衛生管理に関する普及啓発についてであります。  HACCPに沿った衛生管理が制度化され、今年の六月からは原則として全ての食品等事業者が取り組むこととなっています。HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去または低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。この手法は、国連食糧農業機関と世界保健機関の合同機関である食品規格委員会から発表され、各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。  大規模事業者は、食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組として、食品等事業者自らが、使用する原材料や製造方法等に応じ計画を作成し、管理を行うことが求められます。大規模事業者だけでなく、ケーキ屋、喫茶店、八百屋、米屋など様々な業種の小規模な営業者等も対象となり、その取り扱う食品の特性に応じた取組として、各業界団体が作成する手引書を参考に、簡略化されたアプローチによる衛生管理を行うことを求められています。この取組は、事業者が食材の仕入れ時や保存時の適正な対応、従事者の健康管理、施設設備の清掃・洗浄・消毒などの衛生管理を計画的に実施し、記録・確認することによって、食中毒の発生や異物混入などの防止を図るものです。昔ながらの独自の衛生管理を実施してきた事業者にとっては、安全管理の意識が向上し、記録を残すことでお客様に対して対策をしていることを証明することができることになり、モンスタークレーマーから従業員を含む事業者自身を守ることにつながりますし、イメージアップをもたらす効果もあると思います。そして、事業者の努力により、消費者である県民にとって安心できる環境が広がることとなりますので、速やかな実施が望まれるところです。  特に、食中毒の発生が多いとされ、令和元年の食中毒発生件数の約五〇%を占める飲食店におけるHACCPに沿った衛生管理の実施は、コロナ対策としてのかがわ安心飲食認証店制度と併せて、県民に対して安心・安全な飲食の提供を可能とすると考えますので、事業者にとってのメリットをしっかりと強調しながら、より一層の周知徹底、普及啓発を行っていただくことを要望いたします。  しかしながら、小規模な事業者においては、まだまだ始まったばかりの新しい制度であり、周知が完全に行き届いていないからか、正しく理解されていないのではないかと感じております。実際に取り組んでみるとそれほど難しいものではないようですが、衛生管理計画を作成し、継続的な実施・記録・確認が必要であることから、その手間を過度に負担に感じ、導入にちゅうちょする事業者がいると聞いております。また、今回の義務化においては、第三者による認証の取得は必要ないにもかかわらず、認証を取得しなければ罰則があると間違った情報をコンサルに吹聴され、高額のコンサル料を見積もられ、売上げの小さな事業者は、費用を回収できるのか先行きに不安を感じるというケースがあったとも伺っています。このような状況では、事業者と消費者の双方にとってメリットのあるよい制度であるにもかかわらず、なかなか浸透しないこととなり、県民にとっても不利益な状況と言わざるを得ません。  そこで、現在、どの程度の事業者がHACCPに沿った衛生管理を適切に実施しているのか、講習を受けた事業者の割合などを御教示いただくとともに、実施している事業者が一〇〇%に達していないとすれば、その課題をどのように認識されており、さらには課題解決にどのように取り組んでいかれるお考えかを知事にお伺いをいたします。  質問の第四点目は、GAP認証の取得推進の取組についてであります。  私は、令和元年六月定例会の一般質問においても、GAP認証について質問させていただきましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、ますます必要性が増したと考えられますので、改めてお伺いをするものです。  コロナ禍以前は、地産地消や県産品推奨項目の拡大などにより、県内農家の供給先の維持・確保が図られていましたが、コロナ禍の影響で時短や休業の要請が続く中、夜間の営業が主体の居酒屋をはじめとした飲食店などの需要が縮小し、行き場のない食材の販路探しに農家は困難を極めております。一方で、コロナ禍の影響による海上輸送コンテナの不足により、輸入が滞り、海外の野菜、肉、食用油、小麦粉などの価格が上がっている状況にあり、大手スーパーなどの量販店は食材の確保に向けて仕入先探しに苦労していると聞きます。このような状況であれば、農家は大手スーパーなどとの取引に希望を見いだし、商談を進めればよいと考えられますが、一部の大手スーパーなどは、取引先に対して取引条件として、安定的な販売を行うための数量確保やGAP認証の取得を求めており、販路拡大の大きな関門となっております。  GAPとは、Good Agricultural Practicesの頭文字を取った略語で、直訳では「よい農業の取組」という意味であり、一般的には農業生産工程管理と呼ばれ、農産物を作る際に適正な手順やものの管理を行い、食品安全や労働安全、環境保全等を確保する取組を行おうというものです。国は、令和十二年度までにほぼ全ての産地で国際水準GAPが実施されるよう、現場での効果的な指導方法の確立や、産地単位での導入を推進することを閣議決定しています。  消費者のニーズはといえば、農林水産省の令和元年度のGAPに関する消費者の意識・意向調査では、GAPについて知っている消費者は一一・六%と非常に少ないものですが、同じ調査で「GAP認証を受けた農畜産物を購入したいか」という問いに対して、同程度の価格であれば購入したい人の割合が七七・一%となっており、多くの消費者が値段を条件としつつも、安心・安全な食材を求めていることが分かります。  コロナ禍がある程度収まれば、飲食店の需要回復は見込まれますが、コロナ禍の前の水準までの回復ができなかった場合のことを考えてみたときに、農家は心機一転、GAP認証の取得を進めていくというのが自然な流れではないでしょうか。実際にGAP認証を取得した農家から話を伺ったところ、煩雑なルールに従うことにハードルの高さを感じていたが、逆にルールに従ってしまえば整理整頓や生産履歴の記録、食品安全や環境保全についての標準化・効率化ができ、従業員に対する教育効果も上がり、事業規模拡大には大変有効だと感じたということでした。このような効果が見込まれることを踏まえた上で、GAP認証は信頼のあかしとなり、県産品の売り込みの際にPRできる強みになるということも鑑みて、県としても農家の取得環境を整える必要があると考えます。  そこで、国内におけるGAP認証には、世界水準のものから農林水産省のガイドラインに準拠した各都道府県主体のGAPまで幾つか種類がありますが、現在の県内での取得状況について、知事にお伺いをいたします。  そして、前回の質問から二年が経過しますが、そのときと比べて県内農家に対するGAP認証の取得推進の取組状況がどのように変化したか、また、取組の課題と成果をどのように認識しているか、さらには今後、どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)白川議員の御質問にお答えいたします。  まず、瀬戸内国際芸術祭における利便性の向上についてであります。  次回の芸術祭に向けては、瀬戸内国際芸術祭二〇二二取組方針に沿って、受入れ環境の整備や効果的な情報発信など、来場者の利便性の向上を図るための取組を鋭意進めているところであります。具体的には、コロナ禍での接触機会の低減にもつながる取組として、新たに、スマートフォンでチケットの購入やアート作品を巡るスタンプラリー等が行えるデジタルパスポートを導入したところであり、先月九日から先行販売を行っております。また、来場の皆様に瀬戸内の島々を快適に周遊していただけるよう、既存航路の増便や臨時航路の開設、フェリーの共通乗船券の導入に向けた調整を進めるとともに、船の乗換え案内や作品までのルート検索、周遊プランの紹介等の機能を搭載した公式モバイルアプリの開発を進めており、来年三月に無料で公開したいと考えております。さらに、会場以外への誘客を促進するため、また、芸術祭に関心がある層にSNS上で様々な情報を見ていただけるよう、県内の観光スポット等の写真に芸術祭を表すハッシュタグをつけてSNSに投稿していただき、抽せんで県産品を贈呈するキャンペーンを実施いたします。
     前回からの課題であるキャッシュレス化につきましては、芸術祭の公式ショップや主要な案内所等での決済方式を拡充するとともに、会場となる島の事業者等に対しても、地元市町を通じるなどして、その利便性や必要性について周知してまいります。  私といたしましては、来年四月の開幕に向け、島民や来場の皆様の安全・安心に意を用いていくことを基本に、デジタル技術も活用しながら着実に準備を進め、多くの方々に次回の芸術祭を楽しんでいただき、地域の活性化や本県のイメージアップにつなげてまいりたいと考えております。  次は、バリアフリートイレに関する取組についてであります。  施設のバリアフリー化を推進することで、誰もが安全かつ快適に外出できる環境づくりを進めることは重要であり、中でも、高齢者や障害者等の利用に適正な配慮が必要なトイレを総称するバリアフリートイレは、車椅子使用者やオストメイトの方等にとって必要不可欠なものであると認識しております。  県では、香川県福祉のまちづくり条例に基づき、ホテルや駅など多数の人が利用する公共的施設について、必要な構造及び設備に関する整備基準を定めた上で、所有者等に対して基準への適合を働きかけてきたところであり、現在、二百二十施設に適合証を交付しております。この中で、トイレに関しても、車椅子使用者用便房が設けられていること、その出入口の幅を八十センチメートル以上とすることや、用途面積二千平方メートル以上の公共性の高い建物にはオストメイト対応便房を設置することなどといった基準を設け、取組を促しております。  また、設置場所等の情報提供につきましては、高齢者や障害者等が積極的に外出できるよう、県内施設等のバリアフリー情報を掲載した「おでかけマップかがわ」をホームページ上に公開しており、令和元年度からは、スマートフォン対応により、外出先でも情報検索等ができるよう利便性の向上を図っております。現在、バリアフリー情報を掲載している八百四十五施設のうち、例えば、オストメイトの設備を備えたトイレのある施設は百七十三施設であり、定期的に内容を更新の上、バリアフリー情報の一層の充実に努めております。  私といたしましては、今後とも、条例やいわゆるバリアフリー法に基づく制度の適切な運用に努め、公共的施設におけるバリアフリートイレの整備を働きかけるとともに、「おでかけマップかがわ」の掲載情報を利用者の目線で更新を行うことなどにより、丁寧で分かりやすいバリアフリー情報の提供に努めてまいります。  次は、HACCPに沿った衛生管理に関する取組についてであります。  本年六月からHACCPに基づく衛生管理またはHACCPの考え方を取り入れた衛生管理が実施されたことから、新規事業者に対しては許可申請の際に、衛生管理の手法の確認や助言・指導を行っております。また、既存事業者に対しても、許可の更新時に同様の確認や助言・指導を行うとともに、令和元年度からHACCP導入に向けた実務講習会を実施しており、昨年度までの二年間で食品営業許可業者の約四割となる二千七百二十三名の方が受講されております。加えて、県の広報誌やホームページなどにHACCPに沿った衛生管理の有効性や導入方法等を掲載し、普及啓発を図るとともに、香川県食品衛生協会の御協力を得て、食品衛生指導員が巡回指導を行う際に、制度導入の助言を行うなど、適切な実施に向け、積極的に取り組んでおります。  小規模事業者の方々に対する支援は特に重要な課題であり、制度導入に向けた正確な情報提供や相談への対応が必要と認識していることから、今年度新たに、小規模事業者の方々を主な対象としたHACCP実践講習会を四十二回開催し、約千八百名の方への講習を予定しております。  なお、議員御指摘のとおり、食品衛生法に基づくHACCPに沿った衛生管理の実施に当たっては、第三者認証の取得を求めることはありません。  私といたしましては、引き続き関係事業者に対して丁寧かつきめ細かな支援を講じることでHACCPに沿った衛生管理の普及を促進し、事業者と消費者双方にメリットのある制度として定着するよう取り組んでまいります。  次は、GAP認証取得の推進についてであります。  県内でのGAP認証の取得状況につきましては、本県においては、食品安全等の三項目のみで構成される農林水産省ガイドライン準拠GAPは運営しておらず、全て国際水準GAPであり、先月末現在、JGAPが十一件、ASIAGAPが二件、GLOBALG.A.Pが二件の計十五件と、この二年間で十件増加し、新たに六経営体がJGAPの認証取得に向けて手続を進めているところであります。  このように、GAP認証を取得する農業者は増加しており、県としては、これまでの農業者への普及啓発や、認証取得を目指す農業者に対する専門コンサルタントの派遣等の取得支援による成果と捉えるとともに、今年度は、さらに農業改良普及センターのGAP指導員を十四名増員し、六十一名で技術的な支援を行うなど、指導体制の強化を図っております。  一方、これまで認証を取得した経営体の多くは大規模農業法人であり、認証取得に係る事務作業やコストの負担などにより、比較的小規模の農業者の取組が進んでいないことから、小規模農業者も含め、より多くの農業者がGAPの認証取得を目指せるよう、取組を強化する必要があると考えております。  こうした中、本年十月、JA香川県豊南地区GAP研究会が県内で初めてJGAP団体認証を取得し、複数の農業者が参画して、統一した工程管理の下、販路確保に向けた取組を進めております。この取組は、小規模農業者の認証取得のモデルケースとなるものであり、県としてもこれを一つの契機として、GAP指導員による研修会等を通じ、農業者の認証取得に向けた意識醸成や働きかけを、より一層進めてまいりたいと考えております。  私といたしましては、今後とも農業者へのGAPの普及啓発を行うとともに、認証取得を目指す経営体や産地に対する積極的な指導・支援を進め、経営改善や効率化による経営の安定と、消費者から信頼される安全・安心な農産物の生産振興に取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)一般質問を続行いたします。  竹本敏信君。    (竹本敏信君登壇、拍手) ◯竹本敏信君 県政の重要課題について、知事、教育長並びに警察本部長にお伺いをいたします。  質問の前に一言申し上げます。  十月三十一日、衆議院議員総選挙が行われました。岸田総理は「成長と分配の好循環」を掲げ、野党は分配を軸に置き、成長が先か、分配が先かの議論がされました。失われた三十年の間に家計の可処分所得は減り、金融緩和の恩恵は企業が家計より大きかったということであります。  企業の内部留保に相当する利益剰余金は上昇の一途をたどり、二〇一一年度の二百八十一兆円から、二〇二〇年度は過去最高の四百八十四兆円に達しました。物価安定の目標であります二%も達成できておりません。アベノミクスのいわゆるトリクルダウン、普通の暮らしをしている人、厳しい生活をしている人たちのところに滴り落ちるというようなことは全く起きず、格差や貧困問題の改善にはつながらなかったということが明らかになりました。実質賃金が下がり続けると同時に、二度にわたる消費増税が追い打ちをかけ、GDPの半分以上を占める消費の低迷が続いています。このことが、日本経済が低迷から抜け出せない最大の要因であるということが分かります。中期的には、富裕層に対する金融所得を中心とした所得に対する課税、それから超大企業に対する優遇税制、こうしたアンバランスを全体として見直すことが重要であります。金融・財政政策では、適正な分配と明日の安心感を高めることがなければ消費は増えず、経済は回復しません。適正な分配と安心を高めることが、何よりの経済対策であります。  岸田総理は、企業に賃上げを促す優遇税制の実施との所信表明がありました。賃上げをした企業の法人税の税額控除率を最大で三〇%、中小企業四〇%に引き上げるとしていますが、国税庁の会社標本調査では、そもそも日本企業の約六割が赤字で法人税を払えていないと報告されています。本当に賃金が上がるのでしょうか。  もう一点は、今国会で、去年行われた国勢調査の結果が確定したことを受けて、衆議院選挙の小選挙区は東京が五つ増えるなど、五都県で合わせて十増加する一方、十県で一つずつ減少する十増十減が確定しました。衆議院選挙の各都道府県に割り振られる定数二百八十九の小選挙区の数は、去年の国勢調査の結果を基に、現在の計算方法よりも人口に比例した配分となるアダムズ方式と呼ばれる方法で見直されることになっています。総務省は先月三十日、国勢調査の確定値を公表し、これによって各都道府県に割り振られる小選挙区の数が確定しました。  香川県においても、平成十九年の議会改革検討委員会でアダムズ方式により議員定数が高松二人、さぬき市一人、三豊市一人の四人が削減されました。その後の議会改革検討委員会では、国勢調査が中間発表であることから、正式な国勢調査が出てから議論すると聞いています。議会改革検討委員会設置の申入れについて、議長から回答がありました。一票の格差が最大二・五一倍という最高裁判決が引用されていますが、それなら平成十九年の議員定数の削減は必要なかったのではないでしょうか。今回の申入れに対し、当然、九十四万三千人の人口でのアダムズ方式で算出したデータと比較していると思います。データを見せていただきたいと存じます。  いずれにしても正式な国勢調査の結果が出ましたので、県議会の議員定数について議会改革検討委員会を開いて議論すべきであります。  それでは、質問に入ります。  質問の一点目は、太陽光パネルのリサイクルについてであります。  二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現を法律に明記することで、政策の継続性・予見性を高め、脱炭素に向けた取組や投資、イノベーションを加速させるとともに、地域の再生可能エネルギーを活用した脱炭素化の取組や企業の脱炭素経営の促進を図る地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律が、令和三年六月二日に公布されました。  太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で重要な低炭素の国産エネルギー源であります。また、資源に乏しい我が国は、エネルギーの供給のうち、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料が八割以上を占めており、そのほとんどを海外に依存しています。特に東日本大震災以降、エネルギー自給率は一〇%を下回っている時期があり、エネルギー安定供給の観点から、この改善を図っていくことが重要です。再生可能エネルギーは国産のエネルギー源であるため、エネルギー自給率の改善にも寄与することができます。  政府は八月十日、新築する戸建て住宅に太陽光発電設備の設置を義務化することを検討する方針を明らかにしました。同日の有識者検討委員会で議論の取りまとめ文書に盛り込まれ、大筋で了承されました。戸建て住宅を新築する家庭は建築費用の増加が懸念される一方、有識者からは、二〇五〇年の温室効果ガス排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)の達成に向け、設置の義務化が必要だとする意見が出ていました。  二〇〇九年十一月より余剰電力買取制度がスタートし、二〇一二年七月より固定価格買取制度(FIT)に移行しましたが、その買取期間は十キロワットまでで十年です。ちょうど十年が経過する二〇一九年度に期間満了となった契約世帯は約五十三万件。その後も多くの方々が順次買取期間を終えて次の対応を迫られることになります。十キロワット以上が二十年となっています。買取期間が終われば、大量の太陽光パネルが廃棄処分されることが予想されます。  そこで、使用済み太陽光パネルのリサイクルが必要になってきます。有用な金属やガラスを回収することができます。このため、解体・撤去業者及び廃棄物処理業者は、資源の有効利用の観点から、埋立処分よりも、まずはリデュース、リユース、リサイクルの三つのRの実行が不可欠であります。  他方、太陽光発電事業は参入障壁が低く、様々な事業者が取り組むことに加え、事業主体の変更が行われやすいこと、また、太陽光パネルには、鉛などの有害物質が含まれている可能性があることなどから、発電事業の終了後、太陽光発電設備が放置・不法投棄されるのではないかといった懸念があります。  太陽光発電設備の解体・撤去及びこれに伴い発生する廃棄物の処理は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき行われる必要があります。そして、FIT制度では、適正処理を促すという観点も踏まえ、事業用太陽光発電(十キロワット以上)については、制度創設以来、廃棄等に必要な費用を想定した上で、その廃棄等費用を織り込んで調達価格を決定してきました。そのため、認定事業者には、調達期間終了後に備えて廃棄等費用を積み立てることが期待されるものの、従前、その実施率は低かったことなどから、二〇一八年四月には事業用太陽光発電設備(十キロワット以上)の廃棄等費用の積立てを事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)、これは資源エネルギー庁が出しておりますが、それにより遵守事項として、運転開始後に積立ての進捗状況を報告することを義務化いたしました。しかし、積立ての水準や時期は事業者の判断に委ねられていたこともあり、二〇一九年一月末時点でも、積立ての実施率は低い状況にあります。こうした状況に加え、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、地域との共生を図り、長期安定的な事業運営を確保することの重要性も踏まえ、太陽光発電事業者による廃棄等費用の積立てを担保するための施策について検討が進められ、太陽光発電設備の廃棄等費用について、原則として源泉徴収的な外部積立てを求めることを基本としました。  太陽光発電設備が放置・不法投棄されるのを防ぎ、資源の有効利用を率先していくことが行政に課せられた重要課題だと思います。  そこで、環境保全や資源の有効利用のため、使用済み太陽光パネルのリサイクルについて産官学で技術開発を行い、産業化に向けた取組を進めてはいかがでしょうか。知事の御所見をお伺いします。  質問の二点目は、ジェンダーレス制服等についてであります。  ジェンダーギャップの是正は世界各地において重要な社会課題であり、日本も例外ではありません。学力の男女差は、識字率や初等教育等においては世界トップレベルまで縮めることに成功している一方で、その他の男女差を示すデータの数々は、日本にジェンダーギャップが根強く潜在している事実を示しています。  男女平等、そして人権の観点から推奨されてきた学校での性別によらない名簿、いわゆる男女混合名簿。近年、男女混合名簿を使用する学校が増えています。先般の我が会派の代表質問では、男女混合名簿について、県下の公立学校の九三・八%が使用しているとの答弁をいただきました。ぜひ、一〇〇%の導入を目指してもらいたいと思いますが、教育長、いかがでしょうか。  もう一点は、ニュートラルな性の児童・生徒のインクルージョンであります。  学校には、身体的な性別が判断しづらい性分化疾患などの子供や、生まれ持った体の性と心の性が異なるトランスジェンダーの児童・生徒もいます。このような児童・生徒にとって、日頃から自分のアイデンティティーと異なる性で区別されることは、人権の侵害になりかねないとの懸念があります。子供たちを男女別に扱うということは、トランスジェンダーの児童・生徒への配慮を欠き、人権問題にも関わってきます。体の性と心の性が違う子供は、大変苦しいと思います。自らの性に悩み、それを声に出して言えないつらさを感じている子供たちへの対応が必要だと考えています。LGBTなど性的マイノリティーの中でも、とりわけ性別違和を持つトランスジェンダーの児童・生徒にとっては、大きな精神的苦痛を伴うものであります。  女子の学校制服といえばスカート。そんな常識が変わりつつあります。女子の制服にスラックスも選べるようにする、男女の差がないデザインのいわゆるジェンダーレス制服の導入が全国的に広がっています。「冬にスカートは寒い」という生徒の声を受け止め、導入を決めた学校もあるそうです。スラックスにするかスカートにするか、ネクタイかリボンかなど、児童・生徒が自由に選べるようにすることは、生まれ持った体の性と心の性が異なるトランスジェンダーの子供たちの悩みを少しでも解決することになるのではないかと思われます。  自らの性に悩み、それを声に出して言えないつらさを感じている子供たちへの対応が必要であり、ブレザーとスラックスなどのデザイン、色、柄に大きな男女差がない、いわゆるジェンダーレス制服の導入を検討してはいかがかと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  質問の三点目は、水上バイク等の安全利用についてであります。  最近、水上バイクに関するニュースが世の中をにぎわせています。七月末に起きた明石市の危険走行については、マスコミ等でも大きく報道されましたので、記憶に新しいと思います。八月には、シジミ漁の横を水上バイク十二台が走り、水上バイクの引き波がシジミ船を襲うという報道もありました。さらに九月十五日には、水上バイクが消波ブロックに激突し、三人が死亡するという痛ましい事故もありました。また、昨年の夏、福島県の猪苗代湖において、湖面に浮いていた男女四人をプレジャーボートが巻き込み、八歳の小学生が亡くなり、母親も両足を失う重傷を負うなどの大事故が発生しました。そして、事故から一年がたって、その犯人がようやく逮捕されました。事故が起きた猪苗代湖では、事故以前にも爆音を響かせながら猛スピードで走行している姿が見られ、地域の住民は危ないと思っていたと語っていました。  本県でも、小豆島海上保安署によりますと、昨年、水上バイクに関する四件の苦情の通報があり、うち二件は土渕海峡での走行であったとのことです。土渕海峡で三度目撃した方がいます。バイクの前に子供を乗せたり、相当なスピードで十台ほどが連なって走行したり、爆音も激しく、大変危険だと感じたそうです。また、土庄町小部地区では、住民が海水浴やサップなどのマリンスポーツをしている間際での水上バイクの走行は危険であると訴えており、危険防止策のための防護ネットなどを町の補助により設置することになっています。また、水上バイクの団体に威嚇されたこともあると聞きました。けが人などが出た後では遅いと思います。  海上の安全については、海上保安庁などがパトロールや取締り等を行っていると思いますが、県民の安全・安心の確保のため、海水浴や海のレジャーにおいて痛ましい事故が起きないよう、県としても対応が必要ではないかと考えます。  そこで、水上バイク等の安全利用について、県としてどのように対応していくおつもりか、知事の御所見をお伺いします。  質問の四点目は、耕作放棄地の発生防止についてであります。  農水省の調査によりますと、二〇二〇年の農作物の延べ作付面積が田畑合計で前年比二万八千ヘクタール、〇・七%減の三百九十九万一千ヘクタールとなり、初めて四百万ヘクタールを割ったことが分かりました。農家の高齢化などを背景に、野菜や飼料作物が減少したことが響いたとのことです。  政府は、食料・農業・農村基本計画において、二〇三〇年度に四百三十一万ヘクタールとする目標を掲げておりますが、減少に歯止めがかからない状況にあります。耕地利用率も前年を下回る九一・三%で過去最低となっております。作付面積は、二期作、二毛作を含め延べ面積で算出しておりますが、田の作付面積は前年比一万一千ヘクタール減の二百二十万九千ヘクタール、畑は一万七千ヘクタール減の百七十八万二千ヘクタールでした。二〇一六年以降は減少幅が毎年二万ヘクタールを超えています。また、野菜や飼料作物の減少も目立っております。野菜は前年比九千二百ヘクタール減の四十四万八千七百ヘクタール、牧草など飼料作物は五千九百ヘクタール減の九十五万五千七百ヘクタール、水稲は七千ヘクタール減の百四十六万二千ヘクタール、大豆は千八百ヘクタール減の十四万一千七百ヘクタールとなっており、麦類だけは水稲の転換も影響し、三千二百ヘクタール増の二十七万六千二百ヘクタールでした。農家の高齢化による離農や作付中止の影響が大きく現れているのが分かります。  昨年三月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画では、二〇三〇年度に食料自給率をカロリーベースで四五%にする目標を掲げ、これに必要な延べ作付面積を四百三十一万ヘクタール、耕地利用率を一〇四%としています。香川県の状況はどうなっているのでしょうか、知事にお伺いします。  令和三年産の県産一等米の六十キロ当たりの概算金が、コシヒカリとおいでまいで一万二百円、ヒノヒカリで九千三百円となっています。私は、戸別所得補償制度の復活を本気でやらなければ、日本農業は潰れてしまうと思います。TPP以降、貿易自由化政策の中で米政策はどんどん後退し、生産調整すら廃止してしまいました。条件不利地域から兼業農家や農業者は排除され、耕作放棄地はさらに広がっています。耕作放棄地には雑草が生い茂り、カメムシなどの害虫が発生し、隣接する田畑にも被害を与えています。  そこで、農家の高齢化等に伴う耕作放棄地の発生防止について、県としてどのような取組をしようとしているのか、知事に併せてお伺いいたします。  最後の質問は、特殊詐欺被害防止対策についてであります。  警察庁によりますと、全国の二〇二〇年の特殊詐欺の認知件数は、前年比一九・六%減の一万三千五百五十件、被害総額は九・七%減の二百八十五億二千万円でした。特に被害額は、過去最高だった二〇一四年の五百六十五億五千万円と比べ半減しましたが、一日当たりの被害額は約七千七百九十万円と、依然高い水準にあることが分かりました。  特殊詐欺とは、犯人が電話やはがき等で親族や公共機関の職員等を名乗って被害者を信じ込ませ、現金やキャッシュカードをだまし取ったり、介護保険料の払戻しがあるなどと言ってATMを操作させ、犯人の口座に送金させたりするほか、架空の事実を口実としてコンビニエンスストアで電子マネーを購入させ、その利用権をだまし取ったりする犯罪のことであります。その手口は、年々巧妙化・多様化しており、自分だけはだまされないと思っている人ほど注意が必要です。  令和二年一月一日から特殊詐欺の手口が十種類に分類され、オレオレ詐欺、預貯金詐欺、架空料金請求詐欺、還付金詐欺、融資保証金詐欺、金融商品詐欺、ギャンブル詐欺、交際あっせん詐欺、その他の特殊詐欺などとなっています。全国の警察では、特殊詐欺を根絶すべく、各種対策・検挙活動に取り組んでいると聞いています。  そこで、香川県における本年の特殊詐欺の発生状況はどうなっているのか、また、特殊詐欺の被害を防ぐため、県警察としてどのような対策を行っているのか、警察本部長にお伺いをいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)竹本議員の御質問にお答えいたします。  まず、太陽光パネルのリサイクルについてであります。  議員御指摘のとおり、太陽光発電事業は参入障壁が低いため、様々な事業者が参入していることや事業主体の変更も行われやすいこと、また、太陽光パネルに含まれる有害物質の処理の問題などから、発電事業の中止や終了などによる設備の放置や不法投棄が懸念されております。こうした懸念への対応は全国的な課題であることから、国において、使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクルや適正処理を図るためのガイドラインの策定や、廃棄等の費用の計画的な確保を図るための積立制度の創設など、様々な取組が進められているところであり、また、県からも国に対し、リサイクルシステムを早急に構築するよう要望しております。  一方、使用済み太陽光パネルのリサイクルの取組は、今後、太陽光発電のより一層の導入促進を図る上で欠くことができないものであり、加えて、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー関連産業は、設備の製造・設置から撤去・廃棄に至るまで幅広い業種にわたっていることから、関連技術の開発や産業の育成に取り組むことは、本県産業の振興を図り、経済の活性化につなげていくという観点からも重要と考えております。  こうしたことから、先般策定した香川県地球温暖化対策推進計画では、再生可能エネルギー等の導入促進に当たり、技術開発の動向や国の制度・支援策について広く情報提供を行うなど、関連産業の振興に努めるとともに、大学や試験研究機関、県内企業と連携を図りながら県内企業の参入を促進するなど、関連産業の育成を図ることとしたところです。  本県でも、民間事業者における太陽光パネルのリサイクルへの取組が始まったところであり、私としましては、こうした動きが着実に進むよう、関連技術の開発や産業の育成に、鋭意努めてまいりたいと考えております。  次に、水上オートバイ等の安全利用についてであります。  高松海上保安部によると、昨年、管内におけるプレジャーボートの事故は二十五隻、このうち水上オートバイの事故は二隻発生しており、全国的に不適切な操縦による事故や、経験が浅い者による事故の割合が多い傾向にあると分析されています。こうした中、水上オートバイ等の操縦に関する指導や周知啓発につきましては、海上保安庁において、マリーナ、海岸等の巡回をはじめ、小型船舶免許の更新講習における安全指導や、リーフレットによる啓発活動等を行っていると承知しております。  また、海上における危険行為等につきましては、海上保安庁において関係法令に基づき取締りを実施しているほか、香川県迷惑行為等防止条例において、海水浴場等における水上オートバイ等の危険行為を禁止しており、同条例に抵触する行為については、海上保安庁や県警察において適切に対処されているものと承知しております。  本県においても過去に重大な人身事故が発生するなど、議員御指摘のとおり、水上オートバイ等の安全利用について周知啓発等を行っていくことは重要であると考えており、今後、県広報誌の活用や県が管理する海岸への注意看板の設置など、効果的な周知啓発の方法等について、他県の事例等も含め調査・研究してまいりたいと考えております。  私といたしましては、海上保安部や県警察などの関係機関と連携し、水上オートバイ等の利用が適切に行われ、県民の皆様の安全・安心が確保できるよう取り組んでまいります。  次は、耕作放棄地の発生防止についてであります。  本県における農地の状況につきましては、議員御指摘の国の傾向と同様に、作付延べ面積は、ここ数年毎年五百ヘクタール程度の減少が続き、昨年には二万三千九百ヘクタールとなっており、また、耕地利用率も低下に歯止めがかかっておらず、昨年には八〇・五%となっております。  農業従事者の減少や高齢化等により、こうした状況が進む中、耕作放棄地は年々増加しており、本県農業の基盤となる農地を維持・確保するためには、耕作放棄地対策を着実に推進していく必要があります。特に、耕作放棄地は周辺農地に悪影響を及ぼし、その解消には多額の費用がかかることから、地域において、それぞれの実情に応じた農地の適正な管理を行い、耕作放棄地の発生防止に重点を置いた取組を進めることが重要と考えております。  このため、県では、将来の農地や担い手の在り方を決める人・農地プランの実質化の取組に加え、中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払制度などの活用により、地域における農地の利用に係る話合いを促進させるとともに、話合いを通じて、担い手への農地の集積・集約化や基盤整備、さらには鳥獣被害対策などの各種施策を地域の実情に応じて効果的に組み合わせることにより、耕作放棄地の発生防止に努めております。  今後は、地域の優良な取組事例を紹介し、広く取組が展開されるよう促すことに加え、新規就農者のほか、兼業農家や定年帰農者なども含めた農地を守る多様な担い手の確保・育成を進めることにより、人と農地の両面から、積極的に耕作放棄地の発生防止に取り組んでまいります。  私といたしましては、将来にわたり農地を維持できるよう、引き続き各市町や農業委員会、県農地機構等と連携しながら、総合的な耕作放棄地対策を鋭意進めてまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)竹本議員のデザインに男女差がない制服等についての御質問にお答えいたします。  男女混合名簿につきましては、学校における性別の違いによる格差が生じない取組として有効であると考えており、教職員研修等を通じて、男女混合名簿の使用に向けた啓発に努めてまいります。  学校においては、生まれ持った体の性と心の性が異なるトランスジェンダーなど、性別の問題で悩んでいる児童・生徒もいることを踏まえた対応が必要であると考えております。  デザインに大きな男女差のない、いわゆるジェンダーレス制服につきましては、本県の県立学校において、女子の制服にスカートとスラックスとの選択制を導入している学校が現在十校あり、そのほかにも生徒会が主導してアンケート調査を実施するなど、制服の見直しについて検討をしている学校もあります。学校における制服の選定や見直しについては、それぞれの学校で適切に判断すべき事柄ではありますが、児童・生徒や保護者等からの意見を十分に聴取した上で決めていくことが望ましいと考えております。  また、県教育委員会では、LGBTへの理解を促進する教職員用資料を作成し、研修等を通じて教職員への啓発に努めるとともに、性に関する悩みを持つ児童・生徒からの相談等への対応マニュアルを各学校に配付するなど、学校の相談体制の充実を支援してまいります。  県教育委員会といたしましては、性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会を目指し、市町教育委員会とも連携しながら、子供一人一人を大切にする教育を一層充実してまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)今井警察本部長。    (警察本部長今井宗雄君登壇) ◯警察本部長(今井宗雄君)竹本議員の特殊詐欺被害防止対策についての御質問にお答えいたします。  本年十月末現在における県下の特殊詐欺の認知件数は四十一件と、前年同期比で五件減少しています。手口別で見てみますと、預貯金詐欺が六件と、前年同期比で十二件減少する一方、架空料金請求詐欺は二十三件と、前年同期比で四件増加し、昨年は発生がなかった還付金詐欺が十件と急増しております。また、被害総額では約八千二百三十五万円と、前年同期比で約二千五百七十二万円増加するなど、依然として深刻な状況にあります。  県警察では、こうした情勢を踏まえ、組織を挙げて抑止と検挙の両面から総合的な対策を推進しているところであります。  抑止対策としては、特に被害に遭いやすい高齢者をはじめ幅広い世代に対する防犯教室の開催、ヤフー防災速報やツイッター等の各種広報媒体を活用したタイムリーな情報配信による広報啓発等に取り組んでおります。さらに、ATMを使用した振込み被害を防ぐため、金融機関と連携し、ATMコーナーでの携帯電話の利用自粛を呼びかけるポスターを掲示して行員による声かけを行っております。また、電子マネーによる被害を防ぐため、コンビニエンスストアと連携し、電子マネーカード等の購入希望者に対して、詐欺のキーワードを記載した専用封筒を活用して店員による注意喚起を行うなど、水際対策に取り組んでおります。一方、被害相談や届出を受理した際の迅速、的確な初動捜査による実行犯の検挙のほか、犯行に使用される口座や電話の利用に制限を加えるなど、犯行ツール対策の強化にも努めているところであります。  県警察といたしましては、明日から始まる年末年始の特別警戒の活動重点に特殊詐欺の被害防止を掲げており、引き続き関係機関や団体とも連携した各種対策を一層強化して、抑止と検挙の両面から、特殊詐欺の撲滅に向けて全力で取り組んでまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)一般質問を続行いたします。  山本悟史君。
       (山本悟史君登壇、拍手) ◯山本悟史君 最初に、犯罪被害者等への支援について質問いたします。  先月二十五日から今月一日までは、国が定める「犯罪被害者週間」であり、県独自の広報啓発週間である「犯罪被害を考える週間」でもありました。初日の二十五日には高松駅において、県と高松市の職員、警察官やかがわ被害者支援センターの職員の皆さんが、四月に施行された香川県犯罪被害者等支援条例の啓発活動を行った様子がニュース等で取り上げられていました。  条例制定に力を入れてきた立場からすると、条例ができた後も、こうした取組がなされるのは率直にありがたいことだと感じています。もちろん、犯罪が起こらないことが一番よいわけですが、残念ながら、いつ、どこで、どんな事故や事件に巻き込まれるかは誰にも分かりません。県民が予期せぬ厳しい状況に陥ったときに、コロナ禍の今もある意味そうですが、いかに行政が県民に寄り添い、具体的な力になれるか。私は、そこに行政の大きな存在価値があると感じています。  昨年十一月定例会の一般質問でも、私はこの問題を取り上げましたが、その際、危険ドラッグを吸引した男が県内で起こした交通事故により、何の罪もない十一歳の娘さんを亡くされた親御さんの手記が県庁一階で展示されていた話もしました。実は今年の夏、御縁がありまして、当人である秋山さんの奥さんと話をする機会がありました。亡くなった娘さんの事故後の入院時の写真も見せていただきました。言葉にならない圧倒的なリアルさ、娘さんに対する御夫妻の愛情、そして、やりきれないつらさが痛いほど伝わってきました。今は御夫妻それぞれが、県内の学校などでの講演で御自身の体験を通じた命の大切さを訴えています。昨日は、奥さんが津田高校で講演をしたと報道されていました。そうした活動には本当に頭が下がりますが、一方で奥さんは、「講演をしているときは、事故で娘を失ったつらさを忘れられる」とも話してくれました。年が明けると事故から八年になるのですが、八年がたとうとしても、これが遺族の現実なんだと改めて痛感させられました。そして、もし当時、香川県犯罪被害者等支援条例が制定されていたなら、何かしら少しでも御夫妻の役に立ったのではないか、そんなことも考えました。  以下、本条例について、まずは知事にお聞きいたします。  一点目は、今年四月施行後に、県で実施している経済的支援施策である見舞金給付制度の現時点での適用状況をお教えください。  二点目は、その見舞金給付制度の給付条件において、「犯罪被害者又は遺族と加害者との間に親族関係(事実婚を含む)があった場合」は対象外とされている件についてお聞きいたします。  これは、ある種の共謀を防ぐ意味もありますが、国の犯罪被害者給付制度では、同居中の男性からのDVにより死亡した女性の娘が申請した犯罪被害者等給付金について、関係の破綻が確認されたことから、一旦は不支給とした判断を取り消しています。本県の見舞金給付制度においても、事実関係に即して、国の犯罪被害給付制度同様に解釈すべきだと考えますが、どのような運用を考えているのか、お答えください。  三点目は、県内市町の条例制定の必要性についてお聞きいたします。  本条例第七条では、「市町は、基本理念にのっとり、地域の状況に応じた犯罪被害者等支援に関する施策を策定し、及び実施するとともに、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。」と定められています。犯罪被害者または遺族の生活を支えていくためには、市町の協力は欠かせません。そして、そこを担保するためには、私は、市町にも犯罪被害者等支援に特化した条例が必要だと考えていますが、知事の考えをお聞かせください。  次に、警察本部長にお聞きいたします。  犯罪発生直後の支援には、特に県警察の協力が欠かせません。一年前の私の質問に対して当時の本部長は、犯罪被害者等に寄り添った支援をさらに適切に推進していくと答弁されました。本条例が制定され、犯罪被害者等と密接に関わる機関である県警察として、今後、どのように犯罪被害者等を支援していこうと考えているのか、改めてお答えください。  二点目、動物愛護政策の進め方について質問いたします。  先月、フランスでは動物愛護に関する法案が可決されました。三年後の二〇二四年からはペットショップでの犬猫販売、さらにはショーウインドーでの動物展示が禁止されます。フランスは国民の約半数がペットを飼っていると言われていますが、その一方で、毎年十万匹近いペットが捨てられているとも言われています。フランスでは、新型コロナウイルス感染症対策として厳しい外出禁止令が出されましたが、ペットのための一日一時間以内の自宅周辺での散歩は可能とされたため、それを目的に犬を購入する人が続出したそうです。今回の法律制定は、そうしたペットの衝動買いを防止することも目的だと言われています。このほか、ドイツでは、二〇〇一年の省令で、犬の大きさによるおりの床面積が決まったり、イギリスのイングランドでは、二〇一九年の法律で、生後六か月未満の愛玩動物を大手業者が売買することが禁じられたり、また、アメリカのカリフォルニア州では、二〇一九年からペットショップでは繁殖業者の犬猫を販売できなくなっています。  こうした政策が欧米で導入される根底には、アニマルウェルフェア、直訳すれば動物福祉という概念があります。日本では動物愛護という表現が一般的で、これは動物を慈しむというイメージですが、アニマルウェルフェアは、動物に対して与える苦痛を最小限に抑え、動物の心理的幸福をも実現しようとする考えです。背景にはキリスト教的倫理観があるとも言われ、具体的には、動物には五つの自由があるとされています。一つ目が、飢え、渇き及び栄養不良からの自由。二つ目が、恐怖及び苦悩からの自由。三つ目が、物理的及び熱の不快からの自由。四つ目が、苦痛、障害及び疾病からの自由。最後が、通常の行動様式を発現する自由です。こうした考えがペットだけではなく、家畜などにも適用されます。  我が国でも、欧米ほどではありませんが、動物愛護政策が少しずつ進展しています。私は二〇一一年九月定例会の一般質問で、災害時のペット保護を取り上げましたが、議場内から大きなやじが飛んできたことを覚えています。しかし、今は災害発生時にはペットの同行避難が原則となっています。また、二〇一三年十一月定例会の一般質問では、動物愛護センター建設の必要性を訴えましたが、後で、動物ごときに税金を使うなというお叱りのお手紙もいただきました。この問題も、今さらですが、二年前にさぬき動物愛護センターしっぽの森が完成し、本県の動物愛護政策の拠点としてしっかりと機能しています。こうして振り返ると、時代は変わってきたなと感じます。  一方で、変わらない現実もあります。コロナ禍の巣籠もり需要で、我が国でも犬猫を飼う人が増えました。ペットショップの広告には、子犬や子猫のかわいい写真がたくさん掲載されています。同時に、「大総力祭」、「ワンちゃんネコちゃん大集合」、「ショッピングローン金利手数料0円」といった文字も躍っています。動物に関心を持つ人が増えるのはありがたいのですが、きちんとした説明も覚悟もないまま、ペットショップでかわいいから買ったという人は、残念ながら、かわいくなくなったから要らない、あるいは環境が変わって飼えなくなったと簡単に手放す人も少なくありません。  また、売れればいいというブリーダーやペットショップも少なくありません。以前もパピーミル(子犬工場)の問題を取り上げましたが、犬猫への残酷な扱いが表面化し、摘発される業者は一向になくなりません。先月逮捕された長野県の業者は、約千頭の犬をふんや尿が垂れ流しのゲージに入れて劣悪な環境で飼育し、さらに獣医師の資格のないままに麻酔なしで帝王切開を行い、子犬を取り上げていたことも明らかになっています。こうした現状に、大手のペット流通業者は、適正な繁殖はすべきだが、本質的には我々は消費者の需要に応えているだけだと週刊誌の取材に答え、法律改正等による規制強化の動きにも業界を挙げて強く反対しています。  私は、度々、動物愛護の問題を取り上げてきましたが、様々な問題を解決していくためには、やはり行政が中心になるしかないと実感しています。併せて、行政に協力してもらえる個人や団体も、もちろん必要です。県内でも積極的に保護活動や譲渡活動をしている個人や団体が少なからずありますが、思いが強い方々も少なくなく、行政に協力的かどうか、互いに協力的かどうかはまちまちです。そうした個人や団体とはまた別に、自分たちにできる範囲で地道に犬猫を保護したり、里親を探したりしている人もたくさんいます。行政は、そうした人たちとも連携し、必要な支援をしていくことも、裾野を広げていくという意味ではとても大切だと考えます。本県の動物愛護政策に協力してくれる人が多ければ多いほど、本県の野良犬や野良猫、捨て犬や捨て猫は減り、殺処分も減っていきます。最後まできちんと飼育されるペットが増えるほど、飼い主もペットも、共に幸せな時間を過ごすことができます。  そこで、知事にお聞きいたします。  本県の動物愛護行政を、今後、どのように進めていこうと考えているのか、お答えください。  私は、本県が掲げる「人と動物との調和のとれた共生社会づくり」という理念に賛同・協力してくれる人を増やしていくことが大切かつ効果的だと思いますが、そうした点も含めて知事の考えをお聞かせください。  三点目、前向きに頑張る事業者への応援について質問いたします。  先月の決算行政評価特別委員会で、昨年度実施された前向きに頑張る事業者を応援する総合補助金について質問をしました。当時は、誰もが先行きを見通せない中で、今もそれは変わっていませんが、当該補助金はコロナ禍による損失補填的な意味合いではなく、ピンチをチャンスと捉える、文字どおり前向きに頑張る事業者に対しての応援になったと考えています。当該補助金の採択率は申請件数ベースでは五四%とのことで、採択された業者からは、「非常にありがたかった」、「助かった」という声が私にも複数寄せられました。一方で、採択されても、コロナ禍のさらなる広がりで事業が実施できなくなり、結果的に採択辞退に至った事例が複数あったことも委員会で報告されました。予想以上の評価と予想以上の厳しい現実、その両面が明らかになったと感じています。  当該補助金以外にも、コロナ禍に苦しむ中小企業に対しては、国や地方自治体から各種給付金・助成金が用意されてきました。県のホームページにも「香川県の事業者の皆様へ」というチラシが掲載されていて、私はこれが一番分かりやすいと思うのですが、国や県の直近の支援メニューを見ることができます。コロナ禍による売上減少分への補填的な助成金や時短要請等に応じていただいた事業者への各種協力金、さらには感染症対策や新規事業展開、雇用や休業関連の支援メニューが示されています。  その中で、補助率、補助額が図抜けて大きいのが、中小企業庁の中小企業等事業再構築促進事業です。この補助金は、新分野展開や事業転換により規模拡大等を目指す企業等の新たな挑戦を支援することを目的とし、中小企業だと最大補助率は三分の二、補助額は最低でも百万円、五十一人以上の企業だと最高八千万円という大きな金額です。もちろん、採択に至るには各種要件を満たす必要があります。合理的で説得力のある事業計画を策定しなければなりませんし、採択されても事業終了後五年間の経営状況等についての報告が求められます。税金が元ですから、こうした要件は当然ですが、厳しい中でも雇用を守り、新たな事業展開を考えている中小企業にとっては魅力的な補助金だと思います。  ただ、知人のコンサル業者に言わせると、そもそも申請を考えなかったり、申請途中で諦めたりする事業主が予想以上に多いそうです。そして、実際に申請しようとしても、商工会等が相談窓口になっている場合が多いと思いますが、単純に丸かバツか的なやり取りで終始することも少なくないそうです。「採択されるには採択に向けたストーリーが必要なのに、そこを考えずに、せっかくのチャンスをふいにしている。」と、そのコンサル業者は、諦めの早い事業主と、積極的・効果的なアドバイスをしない相談窓口の両方に怒っていました。  先ほど県のホームページのチラシの話をしましたが、各支援メニューより先に掲載されているのは相談窓口の連絡先です。電話は公益財団法人かがわ産業支援財団につながり、個別の経営相談に乗ってくれます。この入り口の相談の部分で、どこまで中小企業に寄り添った対応をするのか、そして積極的にアドバイスを行うのかは重要だと私は考えています。  そこで、知事にお聞きいたします。  ポストコロナ、ウィズコロナの時代の社会経済の変化に対応するために、県内の前向きに頑張る事業者に対して、今後はどのように応援していこうと考えているのか、お答えください。  また、新型コロナウイルス関連経営相談窓口に寄せられた、これまでの相談件数や相談内容、そして、どこまで中小企業に寄り添った対応をしてきたのか、さらには今後の対応方針も含めてお答えください。  最後に、公立夜間中学の設置について質問いたします。  先月、三豊市における夜間中学シンポジウムが開催されました。主催は三豊市で、前半は馳浩元文科大臣による講演で、タイトルは「君は何と闘っているのか」。後半は、馳元文科大臣に加えて、山下三豊市長ら計四人が登壇してのパネルディスカッションでした。あえて補足しておきますが、馳元文科大臣は、政治家になる前は新日本プロレスなどに所属した人気プロレスラーで、相手選手の両足を抱えてリング中央で振り回すジャイアントスイングが得意技でした。それはさておき、馳元文科大臣は、プロレスラーになる前は高校教師をしていたこともあり、政治家になって以降は不登校問題にも積極的に取り組んでいます。そして、大臣在籍時には義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる教育機会確保法を成立させています。この法律の特徴は、学校以外の場で、児童と生徒が学ぶことの重要性と学校を休ませる必要性を明記し、さらに、全ての都道府県及び市町村に対して、夜間中学等の設置を含む就学機会の提供その他必要な措置を講ずることが義務づけられた点です。馳元文科大臣は講演の中でも、「様々な事情で学校に行けない、行かせてもらえない子供がいる。先生や友達と合う合わないがあり、いじめもなくならない。」、「夜間中学がそういう子の駆け込み寺であってもいいし、外国人の日本語教育の入り口であってもいい。」と、その必要性を熱く訴えていました。また、山下市長も、「多様性に応じた学びの選択肢を用意したまちでありたい。」と述べていました。三豊市は不登校などの生徒を受け入れる特例校についても文科省に申請していて、これが認可されれば、夜間中学では全国初となるようです。  ここで、夜間中学の具体的なイメージを紹介いたします。  今年度当初では十二都府県で三十六校が設置されていて、四国では、徳島県が県立徳島中央高校の敷地内に、高知県は特別支援学校旧校舎で、ともにこの四月に県立中学として開校しています。  次に、どんな人が実際に入学して通っているかというと、二〇一九年度、令和元年度の全国調査では、一番多いのが六十歳以上で二三・四%、次が二十歳から二十九歳で一九・七%となっています。入学資格は、義務教育を十分に受けられず、学び直しを必要とすることが大前提ですが、不登校や虐待などで、実際には十分に教育を受けられなかった場合や外国籍の人も入学は可能です。  授業のカリキュラムとしては、平日の夕方から夜にかけての一日四時間程度で、一例としては、最初に十七時二十五分から五分間ほどの学級活動、その後一時限目が十七時半から四十分間あり、十八時十分からは三十分間給食。そして、二時限目が十八時四十分から始まり、五分間の休み時間を挟んで二十時五十分に四時限目が終了。最後にまた学級活動という感じです。年間行事も通常の中学と同じで、四月に入学式と始業式があり、遠足や定期テスト、さらには運動会や文化祭も開催され、三月には卒業式や終業式があります。  三豊市が設置する夜間中学は、高瀬中学の夜間学級として設置し、定員は二十人程度を想定し、最長で九年間在籍できます。学びたいという人が一人でもいれば行政は応えるべきだという山下市長の強い思いが実現した形で、個人的に県議会の同期として誇らしく思っております。  ただ、教職員の配置など、現実の課題もあり、三豊市だけで完結する話ではありません。さらに言えば、取りあえず県内に一校できたからこれで終わりという問題でもないと考えます。西讃地域以外、とりわけ高松市内にも夜間中学が必要だと私は感じています。  そこで、教育長にお聞きいたします。  県内における公立夜間中学の設置についてどのように考えているのでしょうか。県内初の夜間中学を開校する三豊市への支援と、西讃地域以外における公立夜間中学の必要性についても、どのように考えているのか、併せてお答えください。  とにかく学校に行かなければならないという風潮は、昔に比べるとかなり弱まってきていると感じています。学校以外の居場所の必要性も、少なくない人に認識されています。しかし、それでも不登校とされる子供と保護者は、まだまだ肩身の狭い思いをしているのが現実です。逆説的ですが、不登校の子供も通える学校があって、そこには、学び直したいと考えている大人や日本語や日本文化を勉強したいと考えている外国人もいる。それぞれいろいろな事情があるにせよ、世代や国籍を超えて一緒の教室にいるということは、それこそが多様性の具現化だと私は考えます。  香川県教育委員会の前向きな答弁を期待して、そして、新型コロナウイルス感染症がこのまま落ち着いて、皆が心穏やかに年末年始を過ごせることを心から願って、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)山本議員の御質問にお答えいたします。  まず、犯罪被害者等への支援についてであります。  本県では、本年四月一日に香川県犯罪被害者等支援条例を施行し、被害直後から切れ目ない支援を行うための弁護士相談や心理カウンセリングに関する体制の拡充や見舞金給付制度の創設などにより、犯罪被害者等支援を推進しているところであります。  議員御指摘の見舞金給付制度につきましては、犯罪行為により被害者が死亡または重傷病を負った場合に犯罪被害者等の方に見舞金を給付するものでありますが、先月末時点で一件の給付決定を行っております。また、親族間における見舞金の給付につきましては、原則として対象外としておりますが、個別事情を十分に勘案し、犯罪行為が行われたときにおいて既に親族関係が破綻しており、加害者に対して当該給付金が渡る可能性がないと認められる場合には、国の犯罪被害給付制度と同様に給付を行いたいと考えております。  さらに、市町における犯罪被害者等支援に特化した条例につきましては、犯罪被害者等への支援に際して、何より住民の皆様に身近な存在である市町の役割が重要であると考えており、当該条例の意義を含め、被害者等の立場に立った必要な支援策が適切に講じられるよう、各市町との連絡会議等を通じて、引き続き周知・啓発や働きかけを行ってまいります。  私といたしましては、今後とも被害者の方が望まれる必要な支援が適切に実施されるよう、県警察、各市町、かがわ被害者支援センター等の関係機関と緊密に連携・協力しながら、総合的かつ計画的に犯罪被害者等支援に取り組んでいきたいと考えております。  次は、動物愛護政策の進め方についてであります。  本県では、動物愛護及び管理に関する法律の改正に伴い、本年三月、香川県動物愛護管理推進計画の改正を行い、規制が強化されたペットショップ等の動物取扱業者における適正な飼養を推進し、業者への指導・監視の強化を図るとともに、動物の適正な取扱いについて理解が深まるよう啓発等を進めております。  また、さぬき動物愛護センターしっぽの森を動物愛護管理の拠点として位置づけ、ボランティアの方々や関係団体等の御協力を得ながら動物愛護管理に関する普及啓発に努めるとともに、ボランティアの方々等と連携し、最後まで責任を持って飼うことができる方への犬猫の適正な譲渡等に積極的に取り組んでおります。具体的には、地域で活動を行う動物愛護推進員の御協力を得て、犬猫の飼い方相談などを実施しているほか、保健所に収容された犬猫の譲渡を行う譲渡ボランティアや、幼齢の犬猫等を一時的に預かり世話をする預かりボランティアの制度を設けて、適正な譲渡の推進や譲渡を通じた適正飼養の普及啓発に協力いただくなど、センターや保健所との連携を着実に深めているところであり、今後もこうした取組を一層強化してまいりたいと考えております。  議員御指摘のとおり、これら以外にも多くの団体や個人の方々が犬猫などの動物愛護活動に参加し、里親探し等、自分たちのできる範囲で活動を行っていると承知しており、今後、こうした方々にも行政との連携や協働に関心を持っていただけるよう、あらゆる広報媒体を通じて、県の取組や制度の周知に努めてまいります。  私といたしましては、引き続き県民の皆様をはじめボランティアの方々や関係団体、事業者、各市町等と緊密な連携・協働を図りながら、動物愛護管理に関する様々な施策に積極的に取り組むことで、人と動物との調和の取れた共生社会の実現を目指してまいります。  次は、前向きに頑張る事業者への応援についてであります。  新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会経済に厳しい影響を及ぼしており、これを機に人々の行動や消費動向、デジタル技術を活用したビジネスモデルなど社会経済の変化が急速に進む中、こうした変化に的確に対応できるよう事業者を支援していくことが重要であると考えております。  このような中、県内事業者による新分野へのチャレンジを支援することは、社会経済の変化に対応し、経営基盤を強化するための有効な手段となり得ることから、かがわ産業支援財団では、新分野進出等のための商品・技術の開発等を資金面から支援するとともに、専門家による相談対応などの伴走型支援も行う新分野等チャレンジ支援事業や、ECサイト等の構築やウェブ展示会出展等による販路開拓に取り組む事業者を支援するwithコロナ対応支援事業などを行っているところであります。  また、議員御指摘の新型コロナウイルス関連経営相談窓口につきましては、昨年五月に、かがわ産業支援財団に設置し、先月末までの相談件数は千八百五十四件となっており、相談内容は、資金繰りや雇用調整、経営全般に関する相談等様々でありますが、特に補助制度に関する相談が多くなっております。相談窓口における対応につきましては、事業者の財務状況や資金の借入状況等を詳しく聴き取り、対象となる補助制度の申請につなげるほか、金融機関からの資金調達に係るアドバイスや他の支援機関への橋渡し、販路開拓や生産性向上などに関する有益な情報の提供など、事業者の方々個々の状況を十分踏まえた対応を心がけているところであります。  なお、この相談窓口については、設置期間を今年度末まで延長するために必要な経費を今定例会の補正予算案に計上しているところであります。  私といたしましては、今後ともかがわ産業支援財団や関係支援機関と連携しながら、先ほど申し上げた県内事業者による新分野へのチャレンジを支援する取組のほか、事業者の方々の立場に立ったきめ細かな相談対応を行うことなどにより、引き続き多くの事業者の前向きな取組を支援してまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)山本議員の公立夜間中学の設置についての御質問にお答えいたします。  夜間中学は、義務教育未修了者や、様々な事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した者、外国籍の者等が学習を行う場であり、年齢や国籍その他の事情にかかわらず、その能力に応じた教育の機会を保障するという点において重要な役割を担っていると考えております。  三豊市では、生徒の多様性を尊重することを目指した夜間中学を来年四月に開設予定であり、県教育委員会では、これまで開設に向けた検討委員会に出席するとともに、教職員配置や設置手続等について三豊市と調整を重ねてまいりました。現在、三豊市は入学希望者に対して説明会を開催しているところでありますが、県教育委員会といたしましても、夜間中学が円滑なスタートを切ることができるよう、必要な支援を行ってまいります。  西讃地域以外での公立夜間中学の必要性につきましては、県教育委員会が令和元年に実施したニーズ調査において、「学んでみたい」と回答した百七十一名中、丸亀市が五十五人、高松市が四十二人、宇多津町が十八人、多度津町が十人の順となっており、また、希望者の学びの目的や年齢、国籍等については、市町ごとに異なった傾向が見られました。この結果を踏まえ、教育長会議等で情報提供を行うとともに、市町と個別に意見交換を行ってきたところです。  夜間中学の設置・運営につきましては、地域との関わりや昼間の中学校との連携が図れること、地域や通学者の実態に応じたきめ細かな対応ができることから、基本的には義務教育を担う市町において行われることが教育上最適ではないかと考えています。  県教育委員会といたしましては、今後とも県内外の動向を注視しながら、市町に対して三豊市や他県の事例など必要な情報提供を行っていくとともに、国に対して、夜間中学の設置に係る教職員定数の拡充や財政支援等の要望を引き続き行ってまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)今井警察本部長。    (警察本部長今井宗雄君登壇) ◯警察本部長(今井宗雄君)山本議員の犯罪被害者等への支援についての御質問にお答えいたします。  警察は、犯罪発生直後から犯罪被害者等と最も密接に関わり、保護するなどの立場にありますことから、犯罪被害者等の視点に立った様々な施策の推進に努めております。本年三月には第四次犯罪被害者等基本計画が閣議決定され、これを受けて警察庁が策定した警察庁犯罪被害者支援基本計画に基づき、県警察では香川県警察犯罪被害者支援基本計画を策定して、より一層の支援の充実を図っているところであります。一例を申し上げますと、これまで県警察では、犯罪被害者等が医療機関などでカウンセリングを受けた際に要した経費の公費負担制度を運用しておりましたが、本年四月一日より、公費負担期間の延長や適用範囲の拡大等の見直しを行ったところであります。  議員御指摘のとおり、香川県犯罪被害者等支援条例につきましては本年四月に施行されましたが、県警察といたしましては、本条例の施行により犯罪被害者等支援に対する県民の皆様の理解がより一層深まり、支援の輪が広がっていくものと考えておりますので、被害者支援の重要性等について引き続き広報啓発を行ってまいります。  併せて、これまで推進してきたカウンセリングや再被害防止等の犯罪被害者等支援の各種施策を積極的に運用していくとともに、知事部局や関係機関・団体、県民の皆様とも連携を深め、引き続き犯罪被害者等に寄り添い、その視点に立った施策を検討・推進してまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁は終わりました。  本日の一般質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(高城宗幸君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、十二月十日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                          午後二時五十四分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....